『はたらく細胞』は学べるエンタメ作品! 謎解きクリエイター・松丸亮吾が解き明かす

『はたらく細胞』は学べるエンタメ作品!

世界観がしっかりしている。

――学習要素を物語に落とし込むのはなかなか難しいことだと思います。松丸さんも謎解きの講演を作るときには「世界観が重要」とおっしゃっていたことがありますが、松丸さんから見て本作は世界観もうまくできていると思いますか?

松丸:めちゃくちゃうまくできていると思います。謎解きを作るときも、例えば「このままでは船が沈没します。防ぐためには、この壁に貼られた謎を解いて解除コードを手に入れてください」と出題しても、それだけでは「その壁の問題は誰が作ったの?」と思われてしまいます。それだと謎解きとしては世界観が崩壊していて、お客さんも楽しめないんです。今回の作品で例えると、各細胞の特徴を説明するために、展開を色々試行錯誤していると思うんです。でも、完成した作品を観ると、無理に展開を捻じ曲げているという印象は全くなく、作品世界が崩壊していません。相当計算して作っているのだと思います。

――ちなみに『はたらく細胞』で謎解きを作ることもできそうですか?

松丸:『はたらく細胞』は謎解きと相性がいいと思います。なぜかと言うと、この作品を観ると知識が増えるからです。謎解きは基本的に知っていることからしか問題が出せないんです。ニッチな知識を求めるものでは成り立たないんですが、本作を観れば、NK細胞とかキラーT細胞などの名前を覚えるので、それに絡めた問題が作れるし、アニメの復習にもなりますよね。

楽しく学ぶために大切なこと

――松丸さんは、普段から子どもやその親御さんから勉強を楽しくするためにどうすればいいのかなどの相談を受けることも多いと思います。そういうとき、どんなアドバイスをしているのですか?

松丸:いかに目的に対して楽しい手段が取れるかが大事だと思います。僕は、国語の勉強のために読書をしたりしなかったんです。その代わり、RPGゲームを遊んだり、映画やアニメをたくさん観たりしていました。そうすると作品の中に出てくる言葉の意味や使い方が気になってくるんです。それから、それらの言葉をどうしてこのキャラクターがこういうニュアンスで言ったのかなとか、考えるようになっていきました。そういう感情を推し量る力が身につかないうちに小説を読んでもなかなか勉強にならないと思うんです。算数の場合も、僕はトレーディングカードが大好きだったので、カードを集めてデッキを組んで戦うとき、掛け算や割り算を使ってダメージ計算をしないといけません。そういうゲームをやっていたらどんどん計算が早くなっていったんです。僕は机に向かってじっと勉強するのが得意じゃなかったので、ひたすら楽しくするにはどうすればいいかを考えていましたね。

――なるほど。そういう意味ではアニメを観て楽しく学ぶことも有効なわけですね。

松丸:そうですね。やはり子どもに学ばせるときには動きのあるものがいいと思います。その意味で、アニメーションははっきりとした動きがあるものなので、有効だと思います。

――本作を親子で観る人も多いと思います。子どもと一緒に観る大人に何かアドバイスはありますか?

松丸:観終わった後に何か疑問に思ったところがないか、子どもに聞いてみるといいと思います。僕は、関心は疑問から始まると思っていて、疑問に思っていることを話し合ってみて、そこから「じゃあ、図鑑を見てみようか」という形でより深い学びにつなげていけるといいですよね。あと、この作品は、細胞や菌についてだけでなく、人間関係や社会を営むことについての勉強にもなる作品だと思います。いろんな意味で子どもたちに良い影響をたくさん与える作品だと思いますので、そういうところにも注目していただけるといいのではないでしょうか。

■公開情報
『「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!』
公開中
TVアニメ第2期、2021年1月より放送
キャスト:花澤香菜、前野智昭、小野大輔、井上喜久子、長縄まりあ、早見沙織、行成とあ、小林裕介、吉田有里、高橋李依、藤原夏海、久保ユリカ、石田彰
ナレーション:能登麻美子ほか
原作:清水茜(講談社『月刊少年シリウス』連載)
監督:小倉宏文
シリーズ構成・脚本:柿原優子
キャラクターデザイン:吉田隆彦
サブキャラクターデザイン:玉置敬子
細菌キャラクターデザイン・プロップデザイン:三室健太
総作画監督:吉田隆彦、玉置敬子、北尾勝
美術監督:細井友保(スタジオちゅーりっぷ)
美術設定:曽野由大
色彩設計:水野愛子
撮影監督:大島由貴
3DCG監督:石井規仁
編集:廣瀬清志(エディッツ)
音響監督:明田川仁
音響制作:マジックカプセル
音楽:末廣健一郎・MAYUKO
アニメーションプロデューサー:若松剛
アニメーション制作:david production
製作:アニプレックス・講談社・david production
配給:アニプレックス
(c)清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
公式サイト:http://hataraku-saibou.com
公式Twitter:@hataraku_saibou

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