『警視庁・捜査一課長』小ネタ投入でテレ朝刑事ものに新風? 病みつきになるその仕掛け

『警視庁・捜査一課長』小ネタ投入でテレ朝刑事ものに新風? 病みつきになるその仕掛け

 テレビ朝日の刑事ドラマは『相棒』を筆頭に長編シリーズが多いため、それぞれが独自の進化を遂げており、特殊な人間関係や独自のお約束が誕生していて面白い。なかでも近年、おかしなことになっているのが『警視庁・捜査一課長』シリーズだ。

 本作は、内藤剛志が演じる叩き上げの刑事で捜査一課長の大岩純一が主人公の刑事ドラマ。捜査一課は殺人や強盗といった凶悪殺人を取り扱う課で、大岩は400名以上の精鋭手段を指揮するリーダーという立場だ。2012年に土曜ワイド劇場で第1作となるSPドラマが作られて以降、第5作まで断続的に放送され、2016年に木曜ミステリー枠(木曜20時放送)でテレビシリーズのseason1がスタート。その後、1年ごとに新シリーズが作られている。

 中心となる刑事は、大岩の公用車の運転担当と、現場資料班の女性刑事。運転手役は『season1』では後に捜査一課の刑事となる天笠一馬(鈴木裕樹)、『season2』では刑部公平(田中圭)、そして『season3』と『2020(season4)』では奥野親道(ナイツ・塙宣之)が担当し、事件の捜査をおこなう現場資料班の女刑事は『season1』と『season2』では、大福こと平井真琴(斉藤由貴)が担当。『season3』では広報課所属していた谷中萌奈佳(安達祐実)が兼任という形で現場資料班に所属し、『2020』では平井真琴が復帰した。

 筆者が本作を意識したのは、安達がレギュラーとして参加した『season3』。主演の内藤と安達は1994年に放送されたドラマ『家なき子』(日本テレビ系)で親子役、しかも内藤演じる父親に虐待に近い扱いを受けている小学生を安達は演じていたのだが、その二人が共演するという大胆なキャスティングに興味がそそられた。

 安達が演じる谷中は、幼少期は柔道の国民的スターだったが、メダルをとれなかったことがコンプレックスとなっている女性で、今は選手時代の人気を買われて警視庁にある一人だけの広報課・セルフブランディングルームに勤務している。

 天才子役としてデビューした安達と重なる役柄だが、谷中の必要以上に作り込まれた設定(劇中には彼女を広告塔にしたグッズまで登場する)を筆頭に、本作には普通の刑事ドラマだと思って観ていると「えっ?」と思うような違和感が節々にある。

 宮藤官九郎や福田雄一のコメディドラマなら、作り手が笑わせるために入れたくすぐり(小ネタ)だと理解できるのだが、このシリーズの場合、どうも笑いを狙っているという感じでもなかったので、変なものを観たなぁと思うだけだったのだが、『2020』では「え?」というポイントが今までより多く、おかしなことになっていた。

 それが一番分かりやすく現れているのが導入部。毎回、大岩が電話を受けて「一課長大岩、何?」と言った後、事件の発端となるご遺体の状況を口にするのだが、これが毎回どうにもおかしい。

第1話が「エイプリルフールに嘘をついたら殺された?」
第2話が「大福が勘でご遺体を発見した?」
第3話が「割引シールが貼られたご遺体?」
第4話が「餃子の皮を握ったご遺体が?」

 といった感じで、最終話(第16話)では「なぞの消しゴムを握ったご遺体?」となる。最終話は、カリスマ消しゴムはんこ作家のナルミ先生(島崎遥香)が、とある事件に絡むのだが「消しゴムはんこ作家って、ナンシー関かよ!」と、思わずツッコミたくなる。

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