藤堂先生の結婚と喜多一の閉店 『エール』故郷・福島の人々の変化
第1話から再放送中のNHKの連続テレビ小説『エール』。8月24日からは、第10週『響きあう夢』第49回から第11週『家族のうた』第54回までが放送される。
記念公演『椿姫』に向け、環(柴咲コウ)のもと本番に向けて稽古に励んで音(二階堂ふみ)。妊娠が判明した音は、夢の途中である決断を下す。裕一(窪田正孝)と音の間に娘が生まれて4カ月後、裕一の恩師・藤堂先生(森山直太朗)の依頼で、裕一は音を連れて福島に帰ることになる。
藤堂先生と結婚していた藤堂昌子!
川俣銀行の紅一点だった菊池昌子(堀内敬子)は、裕一が川俣銀行に勤めていたとき、裕一の恋の指南役となっていた。昌子は藤堂と出会い、4度目の結婚を果たす。「4度目」と聞くと、恋に自由奔放な女性像が思い浮かびそうになるが、堀内が見せる演技は周囲を気遣うあたたかみに溢れている。
特に印象的なのは、第73回で藤堂が父・晴吉(遠藤たつお)と向き合うシーンでの一コマ。藤堂と晴吉のやりとりはどことなくぎこちない。元軍人である晴吉は度々「お国のために」と口にする。藤堂も「僕は僕なりに、国のためになることをしてきたつもりです」と話すが、父との考え方の違いが、二人の間に溝をつくっているようだった。
そんな二人の溝を昌子の気遣いが埋めていく。昌子は二人の会話に耳を澄ませ、タイミングを見計ってお茶を運んできた。お腹の中の子どもが動いたときには、晴吉と藤堂の手をとり「この子は強い子になりますよ。お国のために戦ってきたお爺様の強い血を受け継いでますからね」と言った。昌子は晴吉をじっと見つめてこう口にしたが、この言葉は晴吉だけに向けられたものではない。昌子が藤堂のことを大事に思い、そんな藤堂が大切に思う父親のことをも大事に思っているのだと伝わってくる。