磯村勇斗、アクションが今後の大きな武器に? 『今日から俺は!!劇場版』で見せた“気迫”の芝居
今回ドラマを観ずに映画だけを観賞した人にとっては意外かもしれないが、連続ドラマ『今日から俺は!!』における相良は、三橋に引けを取らないくらい卑怯な人物であった。とにかく汚い手を使う“狂犬”相良だが、連ドラの終盤ではクーデターを起こし、智司から開久の頭を奪う。その後、三橋らに敗れ、開久を去り智司と工場で働くこととなる。今回の映画版では「卑怯さ」をきれいさっぱり封印、正攻法で戦う勇ましい姿を見せた。智司と汗水流して働いたことで、性根を入れ替え内面に変化が訪れたのかもしれない。
磯村が眉間に力を入れると眉骨がぐっと上がり、途端にいかつい表情になる。加えて細眉、大きな瞳から放たれる鋭い眼光、その凄まじい“ツッパリオーラ”は作品を牽引する力を持つ。極悪ヤンキーの巣窟、開久でトップに立つカリスマ性は磯村の持つこうした魅力が説得力を持たせているからこそ生し得た役だろう。さらにアクションではしなやかな動きを披露。実は磯村は『今日から俺は!!』シリーズの他に『TWO WEEKS』でも華麗なアクションを披露しており、磯村にとってアクションが今後大きな武器となるであろう手応えを感じた。『今日から俺は!!劇場版』のクライマックスでの相良の気迫は、スクリーン越しにも強烈に伝わってくる。
自粛期間中にはライブ配信映画『コロッケを泣きながら』に出演し、“リアルすぎる”一人芝居を披露した磯村。ファンを巻き込んだ演出の本作で、多くの視聴者の「おうち時間」を充実させてくれた。劇場版で、登場が待ち望まれた相良のように、役者としても多くの人に求められる俳優へと羽ばたくことと感じられる。今後の作品でどんな表情を見せてくれるのか楽しみだ。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■公開情報
『今日から俺は!!劇場版』
全国公開中
出演:賀来賢人、伊藤健太郎、清野菜名、橋本環奈、仲野太賀、矢本悠馬、若月佑美、柳楽優弥、山本舞香、泉澤祐希、栄信、柾木玲弥、シソンヌ(じろう・長谷川忍)、猪塚健太、愛原実花、鈴木伸之、磯村勇斗、ムロツヨシ、瀬奈じゅん、佐藤二朗、吉田鋼太郎
原作:『今日から俺は!!』西森博之(小学館『少年サンデーコミックス』刊)
脚本・監督:福田雄一
配給:東宝
(c)西森博之/小学館 (c)2020「今日から俺は!!劇場版」製作委員会
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/kyoukaraoreha/