『今日から俺は!!』に老若男女が熱くなった理由 誰もが童心に帰れる“夢の国”感を演出

『今日から俺は!!』に老若男女が熱くなった理由 誰もが童心に帰れる“夢の国”感を演出

 2018年に日本テレビ系「日曜ドラマ」の枠で放送され大人気となり、去る2020年7月17日には劇場版公開日に併せSPドラマも放送され高視聴率を獲得、劇場版は初週・第2週ともに興行成績1位を独走と、『今日から俺は!!』の勢いが止まらない。

 公開2週目に入ったタイミングで筆者も劇場版を観に行き、その人気を肌で感じてきた。新型コロナウイルス感染対策で「1席間隔」ではあったものの指定座席はほぼ満席、なかでも小中高生の多さに驚いた。「作品の舞台である80年代をリアルタイムで過ごした世代と、その子供世代が一緒に楽しめるドラマとしてブレイクした」。情報としては把握していたものの、実際こんなにも多くの若い視聴者に愛されていたのだと目の当たりにし、作品の底力を痛感した。

 80年代リアルタイム世代であり、小中高大学生の親であり、親子でドラマ『今日から俺は!!』を観ていた何人かの友人に「子どもたちはどこに魅力を感じていたのか」とヒアリングしてみたところ、「ニチアサの特撮ヒーローものを観るのに近い感覚」「『勇者ヨシヒコ』シリーズのようなファンタジーとして観ていた」「時代劇として面白がっていた」などの答えが返ってきて膝を打った。まさにこの、ジェネレーションギャップを逆手に取った作風こそが本作品のヒット要因といえよう。

 「1980年代の千葉を舞台に繰り広げられるツッパリたちの日常」ーードラマ概要の1行目だけ読めば、40代以上の視聴者にしか響かないのでは? と思ってしまうが、平成生まれキッズにとっては昭和のカルチャーやファッションが異世界すぎて逆に「面白い」「可愛い」と受け入れられたようだ。テレビの前では「あの薄いカバンはどういうこと?」「『聖子ちゃんの写真集』ってそんなに欲しいものなの?」なんていう親子の会話も生まれたのだろう。

 こういった現象も、脚本・監督を務めた福田雄一はすべて織り込み済みだったようだ。劇団「ブラボーカンパニー」の座長からキャリアをスタートさせ、バラエティ番組の構成を経て、数多の舞台の脚本・演出、テレビドラマや映画の脚本・監督と、多岐にわたり活躍してきた福田である。様々な現場で培ってきたノウハウを活かして、「多世代を巻き込んだヒット作」を目指し周到に“決め打ち”してきたことは想像に難くない。

 代表作のひとつ『勇者ヨシヒコ』シリーズ(2010年/2012年/2016年・テレビ東京)について福田雄一は、深夜枠なれど「ファミリーで観られるものを目指した」という。同時に、作り手として一貫して意識しているのが「ザッピングしたときにどういうものが目に留まるかということ」だと語る。「ファミリー向けのわかりやすさ、親しみやすさ」と「『なんだこれは!?』と目に留まる“異物”感」。一見相反するこの二者の同居こそが福田作品の真骨頂であり、『今日から俺は!!』はまさにその集大成といえる。

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