『リモートで殺される』は画面上の恐怖をえぐり出す 『あな番』にも共通するテーマ性

『リモ殺』が描いた『あな番』に通じるテーマ

 画面の向こうにいるのは、あなたのよく知っている人? それとも……。

 『あなたの番です』(日本テレビ系)の秋元康が企画・原案を手がけ、映画『リング』、『スマホを落としただけなのに』の中田秀夫が監督を務めたリアルタイムミステリー『リモートで殺される』(日本テレビ系)が、7月26日に放送された。

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出自粛によって、ウェブ会議システムを利用したリモートワークが広がっている。「リモート飲み会」が流行するなど、従来とは異なるコミュニケーションのあり方を模索する中で、各局もリモート環境下で制作されたドラマ作品を放送。そのような時勢に送り出された『リモートで殺される』は、オンラインのやり取りから生じる「闇」の部分をえぐり出す作品となった。

 本作の前提として共有したいのは、すべてがリモートで作られているのではないということだ。リモートで会話するパソコンやスマホの画面以外は、通常撮影によるショットで、言うなれば従来方式とリモートのいいとこ取りである。

 登場するのは、高校の同級生6人。野島絵里(本田翼)、野村優作(新田真剣佑)、藤原太(柄本時生)、井上透(早乙女太一)、北川淳二(前野朋哉)、そして松園佳代子(前田敦子)は、それぞれ自室あるいは勤務先のマンガ喫茶からリモートで再会する。ストーリー上は、もう一人、古郡一馬も登場するが、劇中で火事によって死んだとされる。

 物語は一馬の不審な行動と、7年前に高校の屋上から飛び降りた田村由美子(齋藤飛鳥)の死の理由をめぐって展開。話していくうちに、由美子は他殺ではないかという疑念や、由美子が飛び降りたとき、一馬がスマホで不審者を撮影していたこと、6人(と一馬)がケミカル系ドラッグを服用していたことが明かされる。遅れて駆け付けた透は、一馬が元カノである絵里のことを気にしていたと話すが、絵里はその発言に疑問を抱く。

 ひさしぶりに出会った同級生がリモートで顔を合わせることで感じる、微妙な違和感。互いの身に起きたことを知らないため、コミュニケーションに齟齬が生じ、そうこうするうちに1人目の殺人が起きる。画面に血を流した佳代子が映し出され、様子を見に行った淳二は連絡が取れなくなる。そして、太と優作の家にも怪しい人影が……。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる