『未満警察』平野紫耀の身体能力の高さを堪能 さりげないファンサービス的な小ネタも
7月25日に放送された日本テレビ系列土曜ドラマ『未満警察 ミッドナイトランナー』第5話。前回のエピソードでは中島健人演じる快が単独行動で同期の仲間を救うために奔走する姿によって、“恋愛オンチ”な部分も含めて快というキャラクターが突き詰めて描かれたわけだが、今回は平野紫耀演じる次郎の番だ。なぜ彼が警察官を目指すことになったのかという理由とリンクする事件を通し、彼が警察官としてひとつ成長を遂げるための重要なステップが描かれたといえよう。
恒例の“青春活動”の一環としてクラブを訪れた快&次郎。しかしちょうど麻薬捜査班のガサ入れの真っただ中で、2人は連行されてしまう。取調室で見せられた密売組織のメンバーの写真に写っていたのは、次郎の幼なじみで初恋の相手でもあった凛花(蓮佛美沙子)だった。売人グループのアジトを突き止めたい担当刑事からの頼みで、潜入捜査をすることになった快と次郎。久々に再会した凛花が自分にSOSを発しているのではないかと感じた次郎は、後日ふたたび凛花の元を訪ねるのだが、そこに武装した男たちが襲撃にやってくるのだ。
この凛花の部屋で繰り広げられる次郎と男たちとの格闘シーンは今回のエピソードの最大の見せ場のひとつだ。部屋にかかっていた木製のハンガーを用いて、金属バットや鉄パイプに応戦する。その所作は、さながら武田鉄矢の代表作のひとつである『刑事物語』シリーズの“ハンガーヌンチャク”そのものだ。さらに終盤で銃口を向けられた次郎が至近距離からの銃撃を避けるシーンや、快も加わっての格闘シーンもしかり、今回はただただ次郎の身体能力の高さを堪能するエピソードだったと言ってもいいぐらいだ。
それに加えて、クライマックスで次郎は凛花を自ら逮捕したいと申し出る。はたしてこれがいわゆる“私人による現行犯逮捕”の条件を満たしているのかは少々疑問が残る部分ではあるが、このシーンが言わんとしていることは警察官なら避けては通れない「逮捕をする」という行為に伴う重責に他ならないだろう。2ヶ月前の回想シーンで次郎は、死んだ兄の代わりに「悪い人をたくさん逮捕したい」とキラキラ目を輝かせながら語るわけだが、その視線にはまだ単純で一元的な“正義”のイメージしか映っていないように思える。今回描かれたように被疑者が身内であるかもしれないことや、また逮捕によって無実の人の人生を奪ってしまう可能性だってあるのだと知ることは、次郎の持つ“正義”をより多面的なものへと変えてくれることだろう。