【ネタバレあり】『呪怨:呪いの家』で描かれた“本当の恐怖” 鍵となるのは実在の凶悪事件
おまけ:過去の『呪怨』シリーズのイースターエッグ
せっかく過去作の話を出したので、『呪怨:呪いの家』を気に入っているもう一つの理由のことも書こう。それは本家、特にビデオ版のオマージュが全編に散りばめられている点だ。2作に続くビデオを観たことがある方なら、「まさか……」という不安フラグ要素でしかないという、こんなにもワクワクしないイースターエッグがあるのかとも思うが、軽く触れておきたい。
まずは黒猫。これは『呪怨』シリーズには欠かせない相棒で、本来は俊雄の飼い猫だったが、彼と同じく一家の父・剛雄に殺された。第1話で聖美を陥れ入れた同級生が、最中に「ニャー」と鳴いてから姿を消す。この「ニャー」は、霊となった俊雄の口癖で、俊雄の飼い猫だったマーが憑依したものと言われている。
姿を消すといえば、本シリーズにも失踪者が多発する。これも『呪怨』あるあるで、呪いを浴びた人間の手によって殺害される他に、大概は伽椰子が人を霊界に引き込んでしまうのだ。時には布団の中から、仏壇の中から、ゴミ捨て場からと、バリエーションに富んでいる。
そして第3話で、大人になった聖美と雄大が二人して偽名を名乗っている。この、雄大の偽名が「小林勝治」、息子の名前が「俊樹」なのも、オリジナルの『呪怨』を匂わせる。というのも、「小林」という苗字は伽椰子がストーカーをしていた男の苗字で(彼への想いを綴ったノートを夫・剛雄が見つけて浮気を疑い彼女を殺した)、「俊樹」は俊雄を連想させるのだ。
また、個人的に『トレインスポッティング』のレントンも真っ青な激ヤバ第4話も、過去作へのリンクが強い。先に述べたように、オリジナルでは剛雄が浮気を疑って妻・伽椰子を殺す。そしてその足で小林宅へ向かい、家に一人でいた妊婦の小林妻を殺して彼女の腹を裂き、赤ん坊を取り出して小林に連絡するのだ。今回は真崎が浮気相手の灰田に実際に見せに行くが……。
最後に、『呪怨:呪いの家』のラストは1997年で幕を閉じるが、このタイミングも少し気になる。というのも、オリジナルのビデオ版『呪怨』が発売されたのは2000年で、言ってしまえば時系列的に『呪いの家』の後のことなのだ。もし、3年後にあの家に佐伯家が引っ越してきていたのだとしたら……。
■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードハーフ。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆。Instagram/Twitter
■配信情報
Netflixオリジナルシリーズ『呪怨:呪いの家』
Netflixにて、全世界独占配信中
監督:三宅唱
出演:荒川良々、黒島結菜、里々佳、長村航希、井之脇海、柄本時生、仙道敦子、倉科カナ
脚本:高橋洋、一瀬隆重
エグゼクティブ・プロデューサー:山口敏功(NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)、坂本和隆(ネットフリックス)
プロデューサー:一瀬隆重、平田樹彦
音楽:蓜島邦明
作品ページ:www.netflix.com/ju-on_origins