『The Last of Us』のように今後はドラマ化が増加? ハリウッドにおけるゲーム実写化最新事情

ハリウッドにおけるゲーム実写化最新事情

 一方、当然ながらゲームの実写化にあまり積極的でないスタジオもある。その一つはディズニーだろう。ディスニーはその確固としたブランディングがすでに存在しており、あえて外部から積極的にゲームの実写化を行う必要はないと思われる。一方で『ロックマン』は、2019年にディズニーに買収された20世紀フォックスで進んでいた企画であり、今は「20世紀スタジオ」ブランドで製作が進んでいる。従来の「ディズニー」ブランドとはまた違うこの枠組みであれば、今後もゲーム実写化企画への参戦があるかもしれない。

 ユニバーサルもまた、ゲーム実写化とはやや距離を置いているスタジオの一つである。ユニバーサルはメジャースタジオでありながら、社会性の高い作品や「フォーカス・フィーチャーズ」ブランドでアート系作品を出してきていた。ユニバーサルが作品の配給を行うアニメーションスタジオ、イルミネーションで『スーパーマリオ』長編映画企画が進行中であるが、こちらは実写ではない。

 上記のようにゲームのハリウッド実写化と最新事情をまとめたが、ゲーム実写化の流れは、今後もしばらく続くだろう。現在のところ映画化が多い印象であるが、長時間プレイをするゲームの特性を考えると、じっくりとストーリーを掘り下げることのできるドラマの方が、ゲームの強みを活かせるというクリエイティブ上の利点がある。このため今後はドラマ化の数も増えていくだろう。成長を続けるゲーム市場を見てもビジネスの戦略的にも大きな可能性をもつゲームの実写化であるが、今後の動きを注意深く追っていきたい。

参照

https://deadline.com/2019/12/mortal-kombat-release-date-james-wan-warner-bros-1202618026/
https://deadline.com/2019/01/resident-evil-tv-series-in-works-netflix-1202541277/
https://www.boxofficemojo.com/
https://variety.com/2019/film/news/detective-pikachu-sequel-1203118582/
https://variety.com/2020/film/news/sonic-the-hedgehog-sequel-1234619356/
https://www.motionpictures.org/wp-content/uploads/2020/03/MPA-THEME-2019.pdf

■田近昌也
北海道出身。上智大学外国語学部卒。東京でインテリアの営業を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院プロデューサー科を修了。その後メジャースタジオの長編映画企画開発部門などで経験を積む。

■公開情報
『ソニック・ザ・ムービー』
全国公開中
監督:ジェフ・ファウラー
製作:ニール・H・モリッツ、ティム・ミラー
出演:ベン・シュワルツ、ジェームズ・マースデン、ジム・キャリー、ティカ・サンプター
日本語吹替版:中川大志、山寺宏一、中村悠一、井上麻里奈
配給:東和ピクチャーズ
(c)2020 PARAMOUNT PICTURES AND SEGA OF AMERICA, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:sonic-movie.jp

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