石原さとみ、田中圭ら『アンサング・シンデレラ』の独特なチーム感 “讃えられない”薬剤師の奮闘

『アンサング・シンデレラ』独特なチーム感

 さらに第1話では、Ⅰ型糖尿病という常にインスリンを打っていないと正常な血糖値を維持できない小児病棟の患者が登場する。彼女たちは学校でインスリン注射を打つことで好奇の目に晒されたり、時には傷つくようなことを言われながら、日常を過ごしていた。そんな日々に耐えきれず、奈央(安藤美優)はわざと薬をやめて入院を長引かせようとする。さらに奈央と仲の良かった優花(永瀬莉子)も、日常から逃げるように注射を正確に打とうとしない。患者のことに一生懸命になりすぎるみどりだが、彼女たちの悩みに真摯に向き合い前に進む力を与えたのもまた紛れもなくみどりなのであった。最後に優花に対して「退院してからもずっと一緒だから」と隣に並びながら言葉をかけるみどりは、まるで薬の妖精のよう。優花が退院してからも薬と共に過ごすこと、そしてその日常が安心で安全であり守られていることは、薬のお陰であると同時にみどりの力があってこそなのだ。

 現在も日本の医療従事者たちは新型コロナウイルスのために毎日必死に戦ってくれている。そうした人々に対して、改めてリスペクトを持つと共に感謝の気持ちを届けたいと真摯に感じさせる、そんな医療ドラマであった。当たり前を当たり前で済ませず、今一度我々の健康を守ってくれている存在に目を向けたい。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
木曜劇場『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:石原さとみ、西野七瀬、桜井ユキ、井之脇海、金澤美穂、真矢ミキ、迫田孝也、池田鉄洋、でんでん、田中圭、成田凌
原作:『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』荒井ママレ/医療原案:富野浩充(『月刊コミックゼノン』連載/コアミックス)
脚本:黒岩勉
プロデュース:野田悠介
演出:田中亮
制作・著作:フジテレビ第一制作室
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/unsung/
公式Twitter:@unsung2020

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