石原さとみ「今までの“ありがとう”の質が変わる」 脚光を浴びない職業の“働く”を描く意義

石原さとみが語る、“働く”を描く意義

「ドラマチックであったとしても、嘘じゃないものを作りたい」

ーー葵を演じる上で「優しさが本当の強さだということが伝わるように演じていきたい」というコメントが印象的でした。

石原:私自身、できない部分はあるのですが、どこまで相手の立場に立つのか、どう言葉を伝えるのかが大事になってくると思っています。例えば、怒りを怒りのまま返すのではなくて、北風と太陽じゃないけど、暖かい方で気付かせたりする方が相手の心は変わりやすいというのは、経験としてもあって。だから、相手を変えようとするよりも、自分自身がどう変わっていけばいいのかを考えるようにしています。葵みどりには理想的な自分を少し投影できたり、こういう人になりたいというイメージを持って演じられたら幸せです。

ーーこのドラマを通して、世の中に伝えていきたいメッセージはありますか?

石原:「かかりつけ薬剤師」という言葉が浸透していないと聞いたので、広まったらいいなと思います。それと、現実的には無理かもしれないけれど、カルテを全国統一して、このカードがあれば全国どこの病院に行っても、薬の処方から治療法、持病、飲んでる薬まで、それを読み取るだけで、その人の状態が全て分かるような仕組みができたらいいのにって。震災のとき、『アンナチュラル』のときにも思ったことですが、遠い未来だとしても、そういう時代にいつかなったらいいなとは思うんです。希望が溢れながらも、今はそうじゃないっていう現実もちゃんと伝える。ドラマチックであったとしても、嘘じゃないものを作りたいです。

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ーー現実をちゃんと伝えていきたいと。

石原:私、ドキュメンタリーとか対談モノがすごく好きなんです。直接自分の目で物を見たり、人に会って話を聞いたり、インタビューのお仕事がすごく好きです。ドキュメンタリーに関しても、インタビュアーの皆さんが自分のフィルターやカメラを通すにせよ、現実を100%伝えるということが正しいのかなと思っていました。でも、それを直接受け取る人も、受け取らない場合もあって、100%のものを受け止めたくない人もいる。だけどドラマは、お芝居やエンターテインメントを上乗せして色を変えて、5%、10%の現実味の濃度だとしても、視聴者の皆さんが、観る前に比べて、観たことで何かを得られたり、知ることができたり、ちょっとでもプラスになることがあったら意味があるなと。その度合いが50%、60%と大きくなったらいいなと思います。実はドラマを通してとても現実的でリアルなものを描いていたというのは、私の中ですごく大事にしていることなんです。

■放送情報
木曜劇場『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』
フジテレビ系にて、7月16日(木)スタート 毎週木曜22:00~22:54放送
※初回15分拡大
出演:石原さとみ、西野七瀬、清原 翔、桜井ユキ、井之脇海、金澤美穂、真矢ミキ、迫田孝也、池田鉄洋、でんでん、田中圭
原作:『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』荒井ママレ/医療原案:富野浩充(『月刊コミックゼノン』連載/コアミックス)
脚本:黒岩勉
プロデュース:野田悠介
演出:田中亮
制作・著作:フジテレビ第一制作室
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/unsung/
公式Twitter:@unsung2020

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