古田新太、朝ドラ『エール』廿日市役で発揮する俯瞰力 『半沢直樹』新シーズンにも期待
古田の俯瞰は人物造形でもいかんなく発揮される。『エール』の廿日市に目をやると、善人キャラが多い中で、裕一の前に立ちはだかるヒール役としての存在感が絶妙だ。木枯(野田洋次郎)に「金のことしか頭にない」と毒づかれる廿日市だが、根っからの悪人というわけではなく、どの会社にも1人はいるような憎まれっ子ぶりが板についている。『あまちゃん』の荒巻も敏腕プロデューサーではあるが、世間体を気にして右往左往する様子がリアルだった。
『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の沼田もそうだが、どのキャラクターも他の登場人物との兼ね合いでちょうど良い位置に収まっているように見える。これらは全体を俯瞰する古田の視点があってこそだろう。相手役を生かすことで定評があり、共演オファーが途切れないのは理由があるのだ。その上で、どの役も適度に面白さを感じさせるのだから心憎い。
舞台では主役を務める反面、映像の世界では長らくバイプレイヤーとして主役を支え続けてきた古田。最近では主演で起用される機会も増えており、何でも演じられる古田に時代が追い付いてきた感がある。7月19日から放送開始される『半沢直樹』(TBS系)では、半沢(堺雅人)と対立する副頭取の三笠洋一郎役での出演も決まっている。怪優が真の実力を示すのはこれからかもしれない。
■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログ/Twitter
■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)予定
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/