『なつぞら』以降は名バイプレーヤーの道もあった? “女優”渡辺麻友の功績を辿る

 6月1日、元AKB48で女優の“まゆゆ”こと渡辺麻友が芸能界引退を発表した。昨年、NHK連続テレビ小説『なつぞら』に出演し、ヒロイン・奥原なつ(広瀬すず)の仕事を描く東京編に登場し、なつを公私ともにサポートするポジションで活躍、演技も好評だっただけに、これからの期待も高かった。女優としての、渡辺の活躍を振り返ってみたい。

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 2006年12月3日の「第三期AKB48追加メンバーオーディション」に合格し、12歳でAKBに加入してから11年間アイドルの第一線で活躍、“まゆゆ”として青春の全てをかけてきた渡辺。秋元康が「天性のアイドル」と言うほど、その姿に多くのファンが魅了されてきた。

 渡辺の女優としての活動を振り返ると、まず思い出すのが初のドラマ『マジすか学園』シリーズ(テレビ東京系)のネズミ役。ピンクのパーカーにフードを被り、他のメンバーのヤンキーキャラとは違い、冷静沈着で頭脳派、いつ裏切り仕掛けてくるのか緊張感を持ったキャラで、ジョーカー的なアンチヒーローの匂いも漂わせた。特に『マジすか学園2』では、センター(松井珠理奈)と共闘するという、ヒーローとアンチヒーローがテッペンを狙うために手を組む姿が視聴者をワクワクさせ、ネズミのカリスマ人気が急上昇。アイドルとしてストイックな渡辺が、冷静に学園の流れを見ている姿や、群れをなさないで虎視眈々とトップを狙う秘めたる狂気などが見事にハマっていた。2018年の文藝春秋のインタビューでは、AKBの生活で「失ったもの」について「豊かな心」と答え、AKBで起きる色々なことに心を動かしていたら自分の体一つじゃ持たないと思い、10代のときに心を無くす決断をして、常に冷静でいられるようになったと説明していたが、そうした冷静さが演技の背景にあったのかも知れない。

 女優として渡辺の演技の幅が広がったのが、連続テレビドラマ初主演作となった2012年の『さばドル』(テレビ東京系)。17歳のアイドル・渡辺麻友が、実は38歳の高校教師だったという二重生活を演じたコメディ。38歳を演じるときの、暗く、顔の頰が落ちたような冴えないルックスは、逆に17歳の渡辺役の方が無理していると錯覚させ、実際に完璧なアイドルをこなしている渡辺は、これほどの努力をして顔を作っているのかと思ってしまうほど。ドラマの中では、乃木坂46に移籍する話もあるので、渡辺の幻の乃木坂時代が見られるのもファンにとっては嬉しい。

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