NHKのリモートドラマ3作が伝えるもの コロナ以降のテレビドラマを示す作品に?

NHKのリモートドラマ3作が伝えるもの コロナ以降のテレビドラマを示す作品に?

 新型コロナウイルス感染症による国難で、テレビ各局、ひいてはエンターテインメント業界全体が有史以来の危機を迎えている。春期ドラマが軒並み放送延期・放送中断を余儀なくされ、とにかく「スタジオ・ロケで新たな撮影ができない」という致命的な状況下、『今だから、新作ドラマ作ってみました』『ホーム・ノット・アローン』『Living』という3作のリモート・ドラマをNHKが先陣を切って制作したことは、大きな転換点となったのではないだろうか。

 第1弾として5月4日、5月5日、5月8日に放送されたのが、3本のオムニバスによる『今だから、新作ドラマ作ってみました』だ。4月7日の緊急事態宣言を受けて企画が発足、打合わせ・制作をすべてテレワークで進行、企画立ち上げから2週間で撮影開始、1カ月以内に放送というスケジュールは、ネットと違い「採択の時間」を要するテレビ局としては最速のスピードといえるだろう。

 第1夜「心はホノルル、彼にはピーナツバター」では『女子高生の無駄づかい』(テレビ朝日)の矢島弘一を脚本に迎え、満島真之介と前田亜季がコロナでハワイ挙式が中止になった遠距離恋愛カップルを瑞々しく演じた。

『転・コウ・生』写真提供=NHK

 第2夜「さよならMyWay!!!」の脚本は『お葬式で会いましょう』『大江戸ロボコン』(ともにNHK)の池谷雅夫が執筆。幽霊となって現れる亡き妻と残された夫の対話を竹下景子、小日向文世のベテランコンビが熱演。トリを飾る第3夜『転・コウ・生』は、脚本を大河ドラマ『おんな城主直虎』(NHK)の森下佳子が手がけ、柴咲コウ、ムロツヨシ、高橋一生が主演。「“ほぼ”本人役」の三者の心と身体が入れ替わるという、ベタな設定でありながら不思議な切実さの感じられるファンタジーに仕上がっており、企画を立ち上げた岡本幸江プロデューサーを含め「直虎組」ならではのワンチーム感が功を奏していた。

 第2弾『ホーム・ノット・アローン』は5月18日〜22日に関西地区で放送され、このたび5月31日(5月30日深夜)に全国でも放送される。連続テレビ小説『スカーレット』でブレイクした松下洸平と桜庭ななみが主演を務め、脚本を『心の傷を癒すということ』(NHK)の桑原亮子が担当。制作統括はNHKスペシャル『世界ゲーム革命』をはじめテクノロジー分野のドキュメンタリー番組を数多く手がけてきた小川徹、そして『カーネーション』『みをつくし料理帖』『心の傷を癒すということ』など、骨太な人間ドラマの立役者として知られる城谷厚司。2分×5話、10分間のショートドラマながら、精鋭の叡智が詰まった作品となっている。

『ホーム・ノット・アローン』写真提供=NHK

 物語は、アパレルメーカー企画部で働き、目下ステイホーム中の田中くみ子(桜庭ななみ)が、見ず知らずの居酒屋経営者・常林浩也(松下洸平)のスマホに間違い電話をかけることから始まる。ハプニングがきっかけでビデオ通話をし合うようになった2人が、少しずつ自分のことを語り出していく。設定としては至極シンプルなのだが、この非常時ならではのイレギュラーな心理状態が、2人の心が動いていく過程にリアリティをもたらしている。

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