仲里依紗がドラマで見せる“2つの顔” 『エール』は喫茶店の奥様、『美食探偵』では殺人鬼に
一方『エール』では、喫茶バンブーで夫の梶取保(野間口徹)と働く店主・梶取恵役を演じている。主人公である、古山裕一(窪田正孝)と音(二階堂ふみ)に店の裏に物件を紹介し、2人が何かと相談や作業に使う場所として、喫茶バンブーは度々登場。当初は物語の成り行きを視聴者目線で見るような、久しぶりに落ち着いた役だと思われたが、突然語り出す自分自身の過去の経歴は夫も知らないことが多いという謎の女性だ。
回を追う毎にエスカレートしていき、音が裕一のライバルの話をすると突如「ライバルか……最初の旦那もあの子に取られたから別れたのよね」と語り出したり、裕一が八丁味噌の愚痴を言ってると「味噌饅頭を届けにいったな、網走に。最後の面会なんて俺のこと忘れてくれって鉄格子の向こうで涙してたな」など、妄想なのか事実なのか、自分の世界に入り込み、過去の男について語り出す恵劇場が始まる。
仲が「私の登場シーンは、少し空気が変わります。みなさんの癒やしになれたらいいなと思って演じています」と言うように(参考:野田洋次郎、仲里依紗、三浦貴大、加弥乃、朝ドラ初出演 『エール』東京編の新キャスト発表)、夫婦関係が悪くなったり、作曲がうまくいかずドラマが息詰まっている状態のときに“恵劇場”が始まることで、物語の休憩場所としての期待に見事に応えている。
喫茶店と言えば、2008年の主演映画『純喫茶磯辺』の、ダメ親父を叱りながらも暖かく見守る高校生の娘であったり、2013年のドラマ『ラッキーセブン』(フジテレビ系)では、大泉洋演じる淳平にツッコミを入れまくるなど、もともと気さくな演技も得意としている仲。最近ではYouTubeチャンネル「仲里依紗です。」で、スッピンからのガングロコスメや、「インスタ映えじゃなく、もっと自分を喋って表現してみたかった」と足をおっ広げるなど、気さくな一面を見せている。恵役は、そんな素の仲に近いキャラなのかもしれない。
恵劇場は、『美食探偵』で見せるような自分の世界に入り込んだ演技を、『エール』というコメディタッチのドラマの中で見せているとも言えるだろう。もし『エール』の中で、みどり役のように私は過去に夫を殺したと言っても、おそらく面白く見えてしまうのではないだろうか。それができるのは、やはり今まで様々な役で培ってきた確かな演技力と、そこから深読みしてしまうミステリアスさが、仲のイメージにあるからこそ。突如ミルクセーキの作り方映像が登場するなど、『美食探偵』同様に先が読めない展開のキャラとなっているだけに、この先も目が離せない。
■放送情報
『美食探偵 明智五郎』特別編
日本テレビ系にて、5月24日(日)、5月31日(日)、6月7日(日)22:30〜23:25放送
出演:中村倫也、小芝風花、佐藤寛太、富田望生、北村有起哉、小池栄子、武田真治、仲里依紗、志田未来、財前直見、モロ師岡、宮崎哲弥(写真)
原作:『美食探偵 明智五郎』東村アキコ(集英社『ココハナ』連載)
脚本:田辺茂範
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:荻野哲弘、本多繁勝(AX-ON)、西紀州(AX-ON)
協力プロデューサー:吉川恵美子
演出:菅原伸太郎、水野格ほか
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/bishoku/
公式Twitter:@bishoku_ntv
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/