今後もさらなる活躍が期待される吉沢亮 高い演技力が堪能できる映画3選
いま最も注目度の高い若手俳優といっても過言ではない吉沢亮。類まれなる美しいビジュアルはもちろんだが、そこにスポットが当たる役柄ばかりではなく、癖のあるキャラクターもけれんみなく演じ、高い演技力も評価されている。2021年放送のNHK大河ドラマ『青天を衝け』では、「日本資本主義の父」と言われている実業家・渋沢栄一役で大河ドラマ初主演を務めることも発表。そんな大注目の若手俳優である吉沢の芝居が堪能できる映画を3本紹介したい。
『リバーズ・エッジ』(2018年)
『ViVi』(講談社)が実施している「国宝級イケメンランキング」で」1位を獲得したことがある吉沢。誰もが認める美形の若手俳優だが、そんな吉沢が「決してルックスだけではない」と強く印象付けられる作品だ。
本作は、熱狂的ファンを持つ漫画家・岡崎京子の原作を、行定勲監督で実写映画化。1990年代を舞台に、二階堂ふみ扮する女子高生のハルナ、ハルナにだけ心を許すゲイの山田、モデルのこずえらの若者たちが、自らの抱える不安や欲望を活写する。
吉沢扮する山田は、同級生からのいじめを受けるなか、どこかそれをも達観しているような独特な雰囲気を持つゲイの青年。河原にあった死体を心のよりどころにしているなど、一筋縄ではいかないキャラクターだ。基本的には自身の感情を表に出さず、ストーリーラインのなかで大きな変化を見せることはないが、そのぶん漏れ出てしまう機微には、さまざまな思いが込められている。
吉沢自身、たびたび「自分はあまり感情を出すことがない。地味なタイプ」と語っているが、本作では「国宝級イケメン」というパブリックイメージとは真逆の吉沢を堪能できる。
劇中の描写は強烈で、かなり鬱っぽくなってしまうのだが、映像を含めた全体的な鑑賞後感はそれほど重くない。二階堂はもちろん、森川葵、上杉柊平、SUMIRE、土居志央梨らの演技も好感度が高い。
『キングダム』(2019年)
世界的にファンの多い原泰久の同名コミックを、佐藤信介監督で実写映画化された本作。紀元前245年の春秋戦国時代の奏を舞台に、戦争孤児の少年・信(山崎賢人)と漂(吉沢亮)が、天下の大将軍になることを夢みて日々鍛錬するなか、国内でクーデタ―が起こり、二人の運命は思わぬほうに転んでいくことになる。
吉沢が演じた漂は、ある事情で王宮に使えることになったが、そこには漂とまったく同じ顔をした若き王・えい政(吉沢亮)がいた。吉沢は漂とえい政という一人二役を演じたのだ。漂は下僕、えい政は国王というまったく身分が違う二人。当然過ごしてきた時間は違うため、身なりや言動の違いはあるが、顔形はまったく同じなので、その違いをはっきりと演じ分けるには、役者としてのかなりの力量が求められる。
そんななか、アップになっただけでも漂かエイ政かが判断できるほど、吉沢はその違いをしっかりと表現していた。自身も「一目見ただけでどちらを演じているか分かるぐらいにしたかった」(引用:吉沢亮『キングダム』自分の代表作になればと死ぬ気で挑んだ - シネマトゥデイ)と漂とえい政のキャラクターを徹底的に深掘りした。殺陣のシーンでも、我流で荒々しい漂と、英才教育を受けたと思われるえい政では、剣の違いを意識したという。
同じく二役の声を演じたアニメーション映画『空の青さを知る人よ』でも、吉沢の演じ分けは大きな話題となった。器用さもあるのだろうが、一つ一つの役に対しての理解度を深めるアプローチ方法のなせる業なのだろう。