朝ドラ『エール』を輝かせる親子の結びつき 唐沢寿明と窪田正孝が見せた息の合った芝居

『エール』唐沢と窪田、親子の結びつき

 一度は夢を諦め、家族のために権藤家を継ぐことを考えた裕一(窪田正孝)だったが、音(二階堂ふみ)と鉄男(中村蒼)からの“エール”を受け、再び音楽の道へ歩みを戻す。『エール』(NHK総合)第6週は「ふたりの決意」と題され、様々な葛藤を乗り越え夢を追う裕一と音の姿が描かれた。

 ふたりの決意の裏では、ひっそり決意を固めた男もいただろう。最後まで裕一を支え続けた三郎(唐沢寿明)だ。思えば三郎は、音を追って福島に行った裕一をすぐに見つけ出し、「俺に任せとけ」と啖呵を切った。裕一の役に立つべく、まさに東奔西走。そんな三郎の胸には、裕一の夢を叶えてやりたいという小さな“決意”があったのではないだろうか。

 裕一の結婚や、留学が中止になってからの作曲家としての夢も、本人すら諦めモードにも関わらず、三郎はあの手この手で裕一を救おうとする。まさ(菊池桃子)や浩二(佐久本宝)の反対を正面から押し切ることこそないものの、音と積極的にやり取りを交わしつつ影から援護射撃を送る。最終的には音が裕一とレコード会社との契約を勝ち取り、裕一を苦しみの世界から救い出すことになるが、そんな音が東京に戻っていく列車を見守ったのも三郎だった。三郎はまさや浩二の手前、自らの手で救うことができなかった裕一をどん底から引きずりあげる手助けをし、音のことも裕一のことも東京へと送り出す。

 最終的に裕一は「家族を捨ててきた」と言って音を追いかけ東京を目指す。裕一は自分のために三郎がどれだけ手を尽くしていたかを知る由もない。しかし、旅立ちのとき、音の家の住所をつつがなく聞いておき、裕一に渡したのもまた三郎なのだ。そして裕一に対して「おめえが捨てたって、俺はおめえを捨てねえ」と声をかける。

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