『素敵な選TAXI』は“脚本家”バカリズムに必要な作品だった ドラマの次元へ進んだユーモアと皮肉

『素敵な選TAXI』はバカリズムの原点に

 筧もまた、自主映画時代に手がけた類稀なる傑作『美女缶』と『ロス:タイム:ライフ』(いずれも後にテレビドラマとしてセルフリメイクしている)のように日常的な部分に非日常を与え、同時に思い通りにいかない人生の歯がゆさややり切れなさを描くことに長けた作り手である。2人の共通するポイントの精度が高まることによって、バカリズムの持つユーモアと皮肉というエッセンスが、コントの次元からドラマの次元へと進むことができる。これが脚本家・バカリズムにとっての習作であるならば、なかなか理想的な題材と演出家との出会いであったといえよう。

■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『素敵な選TAXI』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
出演:竹野内豊、各話ゲスト、バカリズム、南沢奈央、清野菜名、デビット伊東、升毅ほか
脚本:バカリズム
演出:筧昌也、星野和成、今井和久
音楽:本間勇輔
主題歌:aiko「あたしの向こう」
制作:関西テレビ、MMJ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/sentaxi/

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