ジャンルにとらわれない新たな韓国ドラマ 日本でも大人気の『梨泰院クラス』はまさに今観るべき!
コロナウイルス感染拡大に伴い外出自粛が続く中、Netflix、Amazon Prime Videoをはじめとする様々な動画配信サービスが需要を高めている。そんな中、Netflixで日本国内の「今日の総合TOP10」上位に連日名を挙げ、無双の人気を誇っているのが、韓国ドラマ『梨泰院クラス』である。
『梨泰院クラス』って?
『梨泰院クラス』は3月に韓国で放送終了したばかりのホヤホヤの最新ドラマである。実はこのドラマ、韓国では放送前から既に話題になり、注目を集めていた。本作はポータルサイトDaumの同名大ヒットウェブ漫画を原作としている。この原作漫画は平均点数9.9点、Daumウェブ漫画歴代有料売上1位、連載中累積ヒット回数2億2000回という驚異の記録を叩き出している話題作。その人気に拍車をかけたのがBTS(防弾少年団)V(テテ)の存在だ。今や世界的なスーパースターとなったBTSは、身につけたものは瞬く間にsoldout。愛用する柔軟剤からリップに至るまでその宣伝効果は凄まじい。それは物に限らず、ドラマにおいても同様である。以前BTSのRMがハマっていたドラマ『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』がSNSなど口コミで広がり一大ムーブメントを巻き起こし大ヒットしたことがあるが、この『梨泰院クラス』も元々Vが原作ファンであることを公言しており、非常に期待しているドラマだと言及していた。また、ドラマのOST(オリジナルサウンドトラック)もVが担当したことで、既存の韓国ドラマファンだけでなく、世界中のK-POPファンをも巻き込んだ一大ムーブメントを巻き起こすことになったのである。複合的な要素を持つストーリー
これまでの韓国ドラマと言えば、ラブコメやサスペンス、復讐系など比較的ジャンルがはっきりとしていた。しかし、近年大ヒットしている韓国ドラマを見てみると、そのジャンルが複合的になり、一言で“ラブコメ”、“サスペンス”などと区切れない作品が多い。韓国で大ヒットし、Netflix配信され日本でも大好評を得ている韓国ドラマ『椿の花咲く頃』は、甘い胸キュンラブストーリーでありながら、そこにサスペンス要素や重厚な人間ドラマが絶妙に混じり、ラストまで目が離せなくなる作品だ。また、韓国ケーブルテレビ局の歴代最高視聴率を叩き出した『SKYキャッスル』も、“親の過剰な教育熱”という今までになかった新たなテーマにプラスして鬼気迫るサスペンス要素が盛り込まれ、韓国ドラマの新たな可能性を示した。そんなジャンルにとらわれない新たな韓国ドラマの形がこの『梨泰院クラス』にもある。
『梨泰院クラス』はパク・ソジュン演じる主人公のパク・セロイが外食産業ナンバー1に君臨する「長家」に復讐するため、梨泰院という街で仲間と共に小さな居酒屋「タンバム」を営み、外食産業のテッペンをとりに行くという若者たちの復讐&成長物語である。そこにセロイを巡る胸キュンなラブラインが加わり、またジェンダーや人種差別といった社会性に切り込んだメッセージまで盛り込まれている。まさに“複合ジャンル”、見応えたっぷりの韓国ドラマなのだ。そしてなにより“復讐”の新たな形がこのドラマの大きなポイントである。セロイはこれまでの韓国ドラマの様に卑劣な手を使って復讐しない。“何より人を大切にする”ことを信念に持ち、正義だけを武器に、仲間と共に悪と戦っていくのである。この前代未聞の真っ直ぐな復讐劇の爽快さが、多くの視聴者に刺さったのではないかと思う。今全人類がウイルスという目に見えない敵と戦っているこのタイミングにおいて、若者が正義を武器に悪と戦うというストーリーは、暗く沈んだ心に一筋の光を照らしてくれるような未来への希望を与えるものだった。不条理な世の中で苦境に立たされても、再び立ち上がり突き進んでいくセロイを今世界が求めていたのかもしれない。『梨泰院クラス』は大苦境に立たされているまさに今、観るべきドラマなのだ。