『エール』悲しみを乗り越えた音の「朧月夜」 主人公だけでなく、支えてくれる人々を描く朝ドラに

『エール』悲しみを乗り越えた音の「朧月夜」 主人公だけでなく、支えてくれる人々を描く朝ドラに

 連続テレビ小説『エール』(NHK総合)第1話で描かれた、気弱な裕一(窪田正孝)の手を取り、先導する妻・音(二階堂ふみ)の印象的な姿。第2週「運命のかぐや姫」では、そんな音が父・安隆(光石研)の死という悲しい出来事を乗り越え、強く生きた幼少期の姿が描かれた。

 安隆の死によって、得意先や職人から見捨てられ、事業継続のピンチに陥った関内家。そんな状況を見かねて立ち上がったのは、音(清水香帆)だった。姉の吟(本間叶愛)と妹の梅(新津ちせ)と共に、事業契約書を探し出す。三姉妹の計画にピンときた母・光子(薬師丸ひろ子)が大量の契約書の中から見つけたのは、「女子どもにできるほど、商売は甘くないに」と言い放った、軍関係の物流業者である打越(平田満)と関内家の契約書。そこには、「一年以内の契約破棄は瑕疵に当たり、違約金が発生する」と書かれてあった。

 光子は再度、打越に会い、契約書を突きつける。焦る打越に、「どうぞ今後ともごひいきに。女子どもですけど」と笑顔を見せる光子。関内家のピンチは、“女子ども”の活躍によって救われたのだ。光子と三姉妹が困難を乗り越える強さを持てたのは、他でもない安隆の「やらずに後悔するより、やって後悔した方がいい」という言葉があったから。“女子ども”と差別せず、家族と対等に接してくれる安隆のもとで伸びのびと育った音。封建的な風土がまだ残っていた1910年代には、珍しい家庭だった。そんな音を羨ましく思っていたのが、同級生の神崎良子(田中里念)だ。

 良子は神崎家のお嬢様で、体裁ばかり気にしている母親のます(篠原ゆき子)に言いたいことを伝えられないでいた。だからこそ、意見を出せる音が眩しく、そんな音が提案した『かぐや姫』の演目に協力的ではなかったのだ。しかし、父を亡くしてもなお、強く生きる音の姿に感銘を受けた良子は、自分が帝を演じる代わりに、音にかぐや姫を演じてほしいと提案する。

 いよいよ、学芸会本番。光子と姉妹が見守る中、登場したのはかぐや姫に扮した音だった。かぐや姫が月に帰るとき、こんなセリフを口にする。「できれば、おじいさんとおばあさんと一緒に年を重ねていきたかった。でも、これでお別れです。さようなら」。それは、父を亡くした音の心情とも重なるセリフだった。そして、音は「朧月夜」を歌唱。バックには、妻と子供を愛し、優しく見守ってきた安隆との思い出が映し出された。

 恩師である藤堂(森山直太朗)の言葉に救われ、作曲にめざめた裕一(石田星空)と、いつも応援してくれている父のそばで、やりたいことに真っ直ぐ突き進んだ音。誰かの後ろには、必ずその人の背中を押した人物がいる。それは応援歌、“エール”のような存在だ。のちに作曲家となり、音楽で人々を勇気づける裕一。第1週~第2週では、その土台をつくりあげた人々の姿が描かれた。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる