“手を組む”距離感が絶妙! 『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』アンサンブルとしての面白さ

『ハーレイ・クインの~』は距離感が絶妙!

 どのキャラクターも魅力的だ。カッコいい暗殺者なのに、そのカッコよさゆえに浮いてしまうハントレス。思わず「姉御」と呼びたくなるブラックキャナリーに、ガッツの塊みたいなレニー・モントーヤ。まったく言うことを聞かないが、それゆえに心を開いたときの喜びが輝くカサンドラ・ケイン。彼女らのドタバタはずっと観ていられるほど楽しい。思えば『バットマン』という作品、というか舞台のゴッサムシティは、バットマンとジョーカーが終わらない善悪の戦いを繰り広げる街であり、言い換えれば仲よくケンカを続ける場所でもある。昨年話題になった『ジョーカー』(2019年)は、犯罪が横行するゴッサムシティをドン底として描いた。対して本作は、ゴッサムシティの「仲よくケンカする」明るい部分に注目した作品だろう。本作でのゴッサムは、自分を曲げずに生きることができる場所だ(ただし相手を選ばないと死ぬ)。正義に生きることもできるし、犯罪を謳歌することもできる。狂ったままでいいし、天敵と共闘したっていい。そんな伸び伸びとした空気と、力強いアクションが楽しい1本だ。わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい――そんなポジティブな気分になれる快作である。

■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿し
ています。最近、会社に居場所がありません。Twitter

■公開情報
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
全国公開中
出演:マーゴット・ロビー、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ロージー・ペレス、ジャーニー・スモレット=ベル、ユアン・マクレガー
監督:キャシー・ヤン
プロデューサー:マーゴット・ロビー
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. BIRDS OF PREY and all related characters and indicia c&TM DC Comics.
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/harleyquinn-movie/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「作品評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる