女子高生の「日常系」がアニメに続きドラマでも流行? 『ゆるキャン△』『女子無駄』から考察
『ゆるキャン△』と『女子高生の無駄づかい』の実写化のツボ
さて、冒頭の2作はいずれも原作&アニメが非常に人気の高い作品だが、見比べてみると、原作&アニメの世界をトレースしたかのように忠実に描いているのは、『ゆるキャン△』だ。
なにしろ原作者のあfろ自身がアウトドア好きで、作中に登場するキャンプ場や観光地は、実在するものも多数あるだけに、ロケ地などは原作&アニメそのまま。構図もかなり忠実で、おまけにメインキャストの髪型や服装などのビジュアル面や、一部キャラの声なども含めて再現度が非常に高く、原作ファンからも絶賛の声が多数挙がっている。しかも、実写では景色&キャンプ飯が、さらに臨場感あるものになるというオマケつきだ。
一方、『女子無駄』のほうは、「バカ」役の岡田をはじめ、基本的に「残念な女子たち」を演じるキャストが美人ばかりであることに違和感を訴える声もあるものの、コメディとしての出来はかなり良い。というか、原作&アニメファンが「実写化は認めるまい」と身構えて見ても、思わずうっかり噴き出してしまうシーンが必ずある気がする。
岡田演じる「バカ」は、原作&アニメでは異常な「モテたい」願望1点を除くと、言動はほとんど『浦安鉄筋家族』や『団地ともお』の世界にも出てきかねない「おバカ小学生男子」なのだが、岡田ががに股で無防備に立って強い目ヂカラを放って熱演している様は、むしろ原作&アニメよりも「残念」に見えて、「女子高生の無駄づかい」としては正しい。
しかも、バカが様々なイケメンとの出会いの妄想をする数々のシーンも、短いカットなのに、いちいち着替えてメイクして、その都度「イケメン」役俳優を取り換えてロケをして、「ヘアメイク&衣装&イケメン役者&時間の無駄遣い」が甚だしい(誉め言葉である)。
ただし、どちらの作品も、漫画やアニメならではの淡々とした独特の「間」が醸し出す面白さは、実写で表現するには難しいと感じる点がある。だからこそ、『女子無駄』のほうはコメディ要素全開であるだけに、その空気をそのまま再現しようとするのではなく、実写として翻訳した笑いにしているのは、英断ではないだろうか。