藤ヶ谷太輔が体現する“心の闇” 『やめるときも、すこやかなるときも』は海外での評価にも期待

キスマイ・藤ヶ谷太輔が演じる心の闇

 藤ヶ谷演じる須藤壱晴は、小さな工房を一人で経営する家具職人。穏やかで優しい性格だが他人に心を開かず、過去のある出来事が原因で毎年同じ時期になると声が出なくなってしまう精神的な病を抱える青年だ。そのどうしようもない孤独感から、行きずりの女性と一夜をともにしてしまっており、冷たいセリフを女性に投げつけるシーンもあった。ワンナイトを繰り返す須藤という男が現実にいれば最低であるが、「笑わない」「ほぼ抑揚がない話し方をする」という役柄故に、心の闇が見え隠れしてどこか放っておけない雰囲気が漂っている。さらに、いつもはキラキラしているつぶらな目は、全く輝いていなかった。心の闇を表すのには、うってつけの表現だろう。第2話でもそうだ。信号待ちをしている際に待ちゆくカップルが記念日の話をし、須藤が過去を思い出すシーン。医師から記念日反応という診断をくだされた須藤の表情や目の動きは、絶望にも似た心情を間違いなく表していた。

 第1〜2話では物語導入部分の描写がほとんどであったが、須藤の心の闇を藤ヶ谷がどう表していき、どう消化させていくのか、第3話以降も楽しみだ。さらに、物語のスパイスとしてA.B.C-Z・五関晃一がどう立ち回るのかや、主題歌となるKis-My-Ft2「memento」がストーリーをどう彩っていくのかなど、楽しみも盛りだくさん。日本からアジアへ広がる、令和のジャニーズ演技の行方を見守っていきたい。

(文=高橋梓)

■放送情報
『やめるときも、すこやかなるときも』
日本テレビにて、毎週月曜深夜24:59〜放送中(Huluでも配信)
出演:藤ヶ谷太輔、奈緒、五関晃一、火野正平、金澤美穂、浅見姫香、中井友望、遠山俊也、手塚理美
原作:窪美澄『やめるときも、すこやかなるときも』(集英社文庫刊)
脚本:桑村さや香
演出:小室直子
音楽:赤い靴
編成企画:田中宏史、川口信洋
チーフプロデューサー:福士睦
企画プロデューサー:⻑松谷太郎
プロデューサー:能勢荘志、高橋淳之介(「高」の正式表記はハシゴダカ)、松山雅則
制作プロダクション:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ、ジェイ・ストーム
(c)NTV・J Storm
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/tomoniikiru/
公式Twitter:@tomoniikiru_ntv
公式Instagram:@tomoniikiru_ntv

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