『シロクロ』横浜流星が事件解決に奔走する理由とは? 解き明かされる謎とさらなる疑問

『シロクロ』田中圭は何故亡くなった?

 さらに、直輝が過去に父・哲也を亡くしている理由や、コアラ男の事件がどう関わってくるのかも忘れてはならない。本作の特徴的な演出は、核心ギリギリまでの情報が開示されていることだ。第4話では、哲也が亡くなっていることを直輝の友人が知っていたり、ミスパンダと直輝が行動を共にしていることを神代が気付いたことが明かされた。直輝とあずさの関係、Mr.ノーコンプライアンスと法務大臣・佐島源造が同一人物であること、門田の催眠でレンとリコが入れ替わっていることなど、本来なら作品の最後に明かされるようなネタが序盤から勢いよく明かされているのだ。

 しかし、これは思わぬミスリードにつながる可能性も秘めている。我々は明かされた情報に対して、“知りたかったことが知れた”という爽快感で、ついキャラクターの発言に信頼を寄せてしまう。本作に隠された謎がどこまで大きな繋がりを持っているのか、さらにはどのキャラクターが信頼に値する人物なのか。本作は情報を出すことで、その判断力を煙に巻いている。まるでミスパンダと飼育員さんのように。翻弄されながらも謎が明かされるスッキリ感にやみつきになる本作は、キャッチーな“ミスパンダ”というキャラクターに惑わされる極上のミステリーだろう。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜23:25放送
出演:清野菜名、横浜流星、山崎樹範、吉田美月喜、中田圭祐、祷キララ、山口紗弥加
監督:遠藤光貴
脚本:佐藤友治、蛭田直美
チーフプロデューサー:岡本浩一(読売テレビ)
プロデューサー:福田浩之(読売テレビ)、馬場三輝(ケイファクトリー)、千葉行利(ケイファクトリー)
共同プロデューサー:池田健司(日本テレビ)
制作協力:ケイファクトリー
制作著作:読売テレビ
(c)読売テレビ
公式サイト:https://www.ytv.co.jp/shirokuro/
公式Twitter:@shirokuro_drama
公式Instagram:@shirokuro_drama

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