『病室で念仏を唱えないでください』死を通して描く“生きること” 伊藤英明の説教に積もる愛と勇気
それぞれの医師の医療との向き合い方が描かれた金曜ドラマ『病室で念仏を唱えないでください』(TBS系)第3話。三宅(中谷美紀)は研修医時代からの付き合いの藤森(宇梶剛士)の事故で、松本(伊藤英明)の言っていたことの意味を知る。あおば台病院の医師たちは、お互いに刺激を与え合い、成長していくのであった。
宮島(ナオト・インティライミ)が病室からいなくなり、必死に探す松本だったが、医師の管轄外の行動を三宅から叱責される。松本は、宮島に鬱病の症状が出ていることを三宅に訴えていた。しかし三宅は、患者に肩入れしすぎだと聞く耳を持たない。この件で衝突する三宅と松本であったが、後日、三宅の付き合いの長い友人・藤森が消防隊隊長として火災の中から人を救う際、無茶をして救急に運ばれてきた。藤森は松本のように、自分の中の突き動かされるような衝動に素直で、本気で人を救いたいと思っていた。松本と通ずるところのある藤森の姿に、三宅は松本の言葉にも耳を傾けるようになる。その頃、一度退院したはずの宮島が自殺未遂で再度病院に運ばれてくる。三宅は松本の言っていた“鬱病かもしれない”という言葉を反芻し、改めて自分の体験を通して宮島を励まし、心身ともに回復させることを手助けする。
救命救急医としての命との向き合い方は医師によって価値観はそれぞれだ。こうした医療の現場での考え方の差というのはよく描かれる題材でもある。第3話では、松本と三宅だけでなく、心臓外科の児嶋(松本穂香)の価値観についても描かれた。児嶋は医師として患者に寄り添い“同志”となることを目指すような情に熱いタイプ。院内のスポーツジムで偶然松本と会い、熱い志を持った者同士意気投合した。その後、児嶋は救急の手術で執刀を任され、松本に励まされて改めてオペ室で活躍したいという本来の自分の目標を思い出した。濱田(ムロツヨシ)に虐げられ、手術の経験を積めずにいた児嶋だが、松本との出会いで前向きに勉学に励むようになる。松本のチャプレンとしての教えに刺激を受ける人は、院内でも徐々に増えつつある。仏の教えに救われるのは患者だけではないのだ。熱い松本に時に振り回されながらも、三宅や児嶋、あおば台病院の医師たちはパワーをもらっていた。