「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『ジョジョ・ラビット』
非常に考えさせられる内容ですが、説教くさくならずにきちんとエンタメ作品として機能しているのもまた見どころです。それを強く感じたのが漫画のようにはっきりキャラ立ちした登場人物たちです。タイカ・ワイティティ監督が演じた架空のアドルフ・ヒトラーは、10歳の少年が想像した存在なので、極端なことしか言いません。
加えて、サム・ロックウェル演じるクレンツェンドルフ大尉は落ち武者ようであり、ナチスの軍人味を一切感じさせませんし、にこやかに「ハイル・ヒトラー」と挨拶をするゲシュタポや、ジョジョの唯一の“実在の友達”ヨーキーは紙で作られた軍服で出陣したりと、とにかくコミカルなキャラクターだらけ。このキャラクターたちを実写の映像として着地させることに成功している時点で感嘆に値します。こういったキャラクターたちが本作がフィクションである事実を強く印象付け、さらに笑いとして受容することを良しとします。アカデミー賞“脚色”賞の通り、史実に対する色付けが見事なまでのバランスで成り立っています。
来月のアカデミー賞授賞式でも大きな存在感を放つことが予想されます。1月は毎週のように必見作が公開されていますが、ぜひ鑑賞候補に入れてみてください。
■公開情報
『ジョジョ・ラビット』
全国公開中
監督・脚本:タイカ・ワイティティ
出演:ローマン・グリフィン・デイビス、タイカ・ワイティティ、スカーレット・ヨハンソン、トーマサイン・マッケンジー、サム・ロックウェル、レベル・ウィルソンほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2019 Twentieth Century Fox
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