「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『テッド・バンディ』

今週の編集部オススメは『テッド・バンディ』

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、リアルサウンド映画部の怖いもの嫌い・島田が『テッド・バンディ』をプッシュします。

『テッド・バンディ』

 

いわゆる、シリアルキラー作品とは一線を画す『テッド・バンディ』。語り口調はポップだし、笑える瞬間も多い。アメリカのティーンにとってのアイドルに他ならないザック・エフロンが演じるテッド・バンディは、白い歯を見せ、小粋なジョークを飛ばし、容疑で逮捕後もそのテンションを全く崩すことなく周囲を(観客も含めて)巻き込んでいく。エフロン演じるバンディが実際に犯罪を犯すシーンがあるわけではなく、自分もいつしか本当に彼が犯人なのか半信半疑になっていて、ラストシーンまで展開が読めなくなっていた。歴史が証明しているにも関わらず。

 バンディには多くの女性ファンが存在し、ファンレターも相次いだという。本作でもメガホンをとった、ジョー・バリンジャー監督のNetflixドキュメンタリー『殺人鬼との対談:テッド・バンディの場合』が当時の熱狂に詳しい(鑑賞前後で観てみることで、両作また違った楽しみ方ができるのでオススメです)。当時から30年以上経過した現在なら「そんなバカな」で一蹴してしまえる出来事だが、本作を鑑賞していると、人はそんなに冷静ではいられないことに気づく。本作は当時の人たちが実際に起こした「錯覚」を追体験させる。故に彼が本当に犯罪を犯していたことを知るラストシーンを観た時のショックも大きい。

 バリンジャー監督は本作について、「『裏切り』と『偽り』についての映画を作りたかった」と語っている通り(参考:『テッド・バンディ』監督が暴く、観客の固定概念 「外見や行動だけで信頼してはいけない」)、「シリアルキラーもの」という括りで収めるにはもったいないほどに、我々が生きている世界で当たり前に起きていることが作中でも起きている、という普遍性がそのショックを通して伝わってくるのだ。

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