『4分間のマリーゴールド』注目すべきは“純度の高さ”? 進化を遂げる2010年代の恋愛ドラマ

『4マリ』恋愛ドラマとしての純度の高さ

 恋愛ドラマの希少価値が高まる中で登場したのが、『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジテレビ系)である。タイトルが流行語大賞の候補に選ばれるほど反響を呼んだ『昼顔』のヒットの背景には、主婦層に狙いを絞った制作意図が指摘されているが、その根底に純正な恋愛ドラマへの渇望があったとも考えられる。映画版では、折からの世間の風潮に配慮してか、上戸彩と斎藤工が演じる主人公2人が悲劇的な結末を迎えるが、物語のメインは道ならぬ恋に身を焦がすキャラクターたちの濃密な感情表現だった。

 同じことは『中学聖日記』(TBS系)にも言える。有村架純演じる中学教師の末永聖は、教え子の黒岩晶(岡田健史)と惹かれ合う。親世代から見れば、我が子が教師と恋仲になることは到底受け入れられないが、ありえないとわかっているからこそ安心して見ることもできる。『中学聖日記』は名作『高校教師』(TBS系、1993年・2003年)と共通するモチーフを取り上げながら、タブーを犯す背徳感以上に学校を舞台にした純愛ドラマの側面が強く打ち出されていた。

 『4分間のマリーゴールド』は、こうした流れの延長線上に位置付けることができる。避けられない運命という最大級のギャップと、道ならぬ恋の要素が融合したストーリーのカギを握るのは、恋愛ドラマとしての純度の高さだ。みことと沙羅はどのように純愛を貫くのか。最終回はいろいろな意味で見逃せない放送となりそうだ。普遍的なテーマを扱いながら時代に合わせて主題を変奏する恋愛ドラマの新しい流れに注目したい。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログtwitter

■放送情報
金曜ドラマ『4分間のマリーゴールド』
TBS系にて、毎週(金)22:00~22:54
原作:キリエ『4分間のマリーゴールド』(小学館ビッグスピリッツコミックス刊)
出演:福士蒼汰、菜々緒、桐谷健太、横浜流星
脚本:櫻井剛
演出: 河野圭太
プロデューサー:橋本芙美
製作: 共同テレビ、TBS
(c)TBS (c)キリエ/小学館
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/4mari/
公式Twitter:@4mari_tbs
公式Instagram:@4mari_tbs

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