『シャイニング』の続編をどう受け止めたのか? 『ドクター・スリープ』キャスト&スタッフが語る
マイク・フラナガン「今になってようやくプレッシャーが消え始めた」
ーーフラナガン監督はスタンリー・キューブリックの後を引き継ぐことになったわけですが、重圧はありませんでしたか?
マイク・フラナガン(以下、フラナガン):それは恐ろしかったよ。大抵の場合、そのプレッシャーに圧倒される感じだった。僕はキューブリックじゃないし、絶対にキューブリックにはならない。もう一人キューブリックが出てくることは絶対にないと思う。でも、僕はキューブリックが大好きだし、スティーヴン・キングが大好き。そして、『シャイニング』が大好きなんだ。この映画を嫌う人々はいるだろう。だけど、それはどんな作品でも起こりうること。だから、そういった問題をちょっと横に追いやって、ファンとして自分が観て楽しめる映画を作ることに集中したよ。それを見失わなければ、プレッシャーは耐えられるものになると感じたんだ。今になってようやくそのプレッシャーが消え始めた感じだね。観客が映画を観るまでは、それはなくならないと思う。今までの自分の人生で、今回の仕事のように恐ろしいと感じたことは間違いなく一度もなかったね。
ーー『シャイニング』との繋がりでいうと、オーバールック・ホテルの再現度が見事でした。
トレバー・メイシー:僕らが作るオーバールック・ホテルは、『シャイニング』のホテルと一致するようにする必要があった。興味深いことに、実は『シャイニング』のホテルの描写は全編で一貫しているわけではない。だから、どこを一致させるかについても考慮の必要があったんだ。
ーースティーヴン・キングの原作小説とスタンリー・キューブリックの映画、どちらのファンも納得させられるものにしなければいけない難しさもあったと思います。
ジョン・バーグ:そうだね。今回は、異なる3人のキャラクターをまとめあげる必要があった。ダニー・トランスは『シャイニング』の少年と同じ人物ではあるものの、まったく違う大人に成長している。苦悩を抱え、どん底を経験してきた彼は、回復の道を辿っているんだ。アブラとローズは新たなキャラクターだから、小説『ドクター・スリープ』の内容も等しく表現しなければならない。前作の映像美とも融合させながら、この3人のキャラクターを通して、新たな物語を描くのが僕らの仕事だった。マイクは、自身が憧れるふたりの英雄に敬意を表す作品を作り上げることができる、才能に溢れる監督だ。その上で、自分の映画として作り上げる自信と才能も持ち合わせていた。マイク・フラナガンは、本当に素晴らしい映画監督だよ。
(取材・文=宮川翔)
■公開情報
『ドクター・スリープ』
全国公開中
原作:スティーヴン・キング『ドクター・スリープ』(文春文庫刊)
監督・脚本:マイク・フラナガン
出演:ユアン・マクレガー、カイリー・カラン、レベッカ・ファーガソン
配給:ワーナー・ブラザース
(c)2019 Warner Bros. Ent. All Right Reserved
公式サイト:www.doctor-sleep.jp