『スカーレット』家の問題に戸田恵梨香はどう立ち向かう? 喜美子がいない3年間を感じさせる信楽

『スカーレット』喜美子がいない3年間の信楽

 『スカーレット』(NHK総合)第32話。信楽へ帰郷した喜美子(戸田恵梨香)は母・マツ(富田靖子)に大阪へ戻ると告げる。美術学校に入学することを切り出そうとするが、マツは喜美子が結婚すると早とちりして浮かれる。酔いつぶれて寝ていた父・常治(北村一輝)も起きてきて話に加わる。

 「落ち着きたいと思うのは普通のことや。お嫁さんになりたいと思うのは、女やったら当たり前のことや」と言うマツに、「落ち着きたいなんて、そんなつまらんこと考えたことないわ」と喜美子はバッサリと切り捨てる。荒木荘でちや子(水野美紀)やさだ(羽野晶紀)を見てきた喜美子にとって「結婚して家庭に入る」というのは当たり前ではなく、絵を描くというやりたいこともできた。しかし、常治は頑として首を縦に振らない。「誰が学校なんて行け言うた? ここで暮らせ言うたやろ」とすごい剣幕で怒鳴りつける。

 今なら一発アウトな常治の毒親ぶりだが、子どもは親の言うことを聞くものという考えは「家」制度が残っていた当時は珍しいものではなく、それだけに喜美子の決意は貴重なものだ。一方で、川原家にも事情がある。早朝、帰阪する喜美子を三女の百合子(住田萌乃)が追いかけてくる。聞けば、マツの貧血の薬を取りに病院へ行くと言うが、夏に倒れたという病状が気がかりだ。代わりに自分が行くという喜美子に「喜美子姉ちゃんは大人? うちは子どもや。大人はあかんねん」と要領を得ない返事。そこに直子(桜庭ななみ)も駆けつける。

 「余計なこと言うなって」と叱る直子に「何隠してんの。言うてえや」と喜美子は詰め寄るが、直子は渋い表情で答えない。仕方なく、通りかかった信作(林遣都)に尋ねると「病院のツケが溜まってんねん」と。大人が行くと支払いを求められるので、代わりに百合子が行かされていたのだ。「まあいろいろあるわな。3年もおらんかったら」と信作。喜美子がいない間に川原家に起きたことを喜美子には知らせずに黙っていたのだ。喜美子を呼び戻す方便のようなマツの病気も、肉の入っていない肉じゃがにも理由があった。

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