『あゝ無情』は一番“面白い”ドキュメンタリー映画に 第2期BiS解散を通して見えたWACKの精神性

『あゝ無情』は一番“面白い”WACK映画に

渡辺「彼女たちはBiSが好きじゃなかった」

——渡辺さんは、映画にもう何本も出演しているじゃないですか。映画での渡辺さんって、純粋に渡辺さんなのか、演じてる部分があるのか、どっちだと思いますか?

渡辺:やっぱり自分であって自分じゃないというか。台詞を作ってるみたいな感覚はあるかもしれないですけどね。基本的には本心で言ってるんですけど、「面白くさせないといけない」って考えるので、「今面白くないな」と思ったらやっぱり変えなきゃいけないっていう、強迫観念めいたものはありますね。

——解散するかどうか、BiSメンバーだけで話し合った映像を後から見て、渡辺さんはどう思いましたか?

渡辺:絶望しましたね(笑)。半年ぐらいメンバーと話し合いを重ねてきて、「もう解散しかないんじゃない?」という話だったんですよ。メンバーが口々に「9人でBiSだ」って言うんですけど、あの話し合いを見てて、「9人でBiS」な感じがしないじゃないですか。本当に9人でやりたかったら、どうやってここから渡辺を説得して、もう一回9人いるBiSをやるのかっていう建設的な話をする場じゃないですか。だから、彼女たちはBiSが好きじゃないんですよ。あるものを奪われるのが嫌なだけなんですよ。

——BiSが好きじゃないというのは、具体的にはどこで感じたんですか?

渡辺:自分たちのことしかしゃべんないじゃないですか。「BiS返そうよ」とかそういう話じゃないはずだし、「BiSを返す」なんて言葉がプー・ルイから出てくるわけがないから。普通に考えたら、カメラも回ってて、映像が世に出るんですよ。だったら、その後につながるような話をしなきゃいけないのに、誰もしてないじゃないですか。「あたしたち、みんなに嫌われてなーい?」みたいな話なんて、甲子園に行こうと言ってる野球部が「なんでこんなに練習しなきゃいけないんだろうね?」って言ってるのと同じなんですよね。甲子園に行く野球部は「もっと練習するにはどうしたらいいんだろう? どうやったら勝てるんだろう?」っていう話になると思うんです。だから「意味わかんねえな」って思いました。

——BiSがあんな状態になっている間、ヤママチさんは何をしていたんですか?

ヤママチ:……何してたんですかね? 寝る準備してたんじゃないかな?(笑)

渡辺:最終日で結果を待つだけなので、候補者もやることないもんね。

——岩淵さんからしたら、撮っている間にメンバーが解散を決めるわけじゃないですか。あの間はどんなことを考えていましたか?

岩淵:編集するときのために、なぜ解散になるのかっていう、人の証言を集めておきました。オーディション中は、渡辺さんの考えていることを読まなきゃいけないので、ずーっと集中して、今合宿所で何が起きているのかっていうのを想像しながら、そこにカメラを持っていくという感じだったんです。だから、あっち行ったりこっち行ったりしてました。

——渡辺さんに「今どういう状況なんですか?」って聞く余裕もない?

岩淵:渡辺さんも、BiSがどうなるかわからないわけですから。明日のことが何もわからない状況で動いているので、とにかく現在をちゃんと撮らなきゃっていう感じでした。

——渡辺さんは、BiSメンバーによって話がひっくり返ると思っていましたか?

渡辺:いや、「本当に9人でやりたいんだったら勝手にやれば?」って思って、僕は僕で新しいBiSを作ろうと思っていただけなので。「9人でBiS」って、たぶん同調圧力で言わされてた奴がいるんですよ。ぶっちゃけやりたくない奴もいたと思うんです、言い出せなかっただけで。既得権益を守ろうとする同調圧力に負けてただけなので、「全然まとまってないじゃん」って。「このBiSは、どの社員に押しつけようかなー」みたいな感じでした。

——そんな渡辺さんの姿は、ヤママチさんの目にどう映っていましたか?

ヤママチ:うーん……渡辺さんでしかないというか(笑)。どのグループにも愛情を注いでくださる方なので、「なんか今BiSに取られてる」みたいな感じというよりかは、「大変そうですね……あー……」っていう感じの気持ちでした。

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