松岡茉優×鈴鹿央士が明かす、『蜜蜂と遠雷』月夜の連弾シーン秘話 「あの空間全部が好きでした」

松岡茉優×鈴鹿央士『蜜蜂と遠雷』対談

松岡「奇跡と偶然が折り重なってその役が出来上がった」


ーー小説では実現できない音楽が、本作の要になりますね。

松岡:それぞれのピアニストたちの役を、世界的なピアニストの方が担当して演奏されているんです。亜夜の奏者を担当した河村尚子さんの収録に立ち会わせていただいたのですが、森や海の原風景が本当に浮かぶような音楽で。これだけの世界的レベルの演奏を、同じ作品で同時に聞けるというのはなかなかないことだと思いますし、楽曲一つ一つとっても楽しんでもらえるんじゃないかなと思ってます。

鈴鹿:何度観ても、本当に音が綺麗だなと感じるんですよね。僕、昨日映画館に映画を観に行ったんですけど、その時に予告が流れて、大きいスクリーンで見て、より音楽の迫力を感じました。空間を包み込んでくれる音を体感する映画です。

松岡:鈴鹿くんと初めて会ったのが、劇中楽曲のレコーディングの日だったんです。ちょうどエレベーターから降りてくる鈴鹿くんの奏者役である藤田真央さんとすれ違った時に、佇まいが本当に風間塵みたいな方だなと感じて。そのままホールに行って初めて会った鈴鹿君も風間塵みたいだなと思って、驚きでした。4人のキャラクターそれぞれにも言えることなんですが、色んな奇跡と偶然が折り重なってその役が出来上がったんだと、作品を見ても改めて感じました。

ーー原作小説のファンの方もとても期待していると思います。原作の映画化にあたり、意識したことは?

鈴鹿:石川監督とクランクインの前に話す機会があって、「今の顔、その目線、その仕草を現場に持ってきてほしい」と言われて、実践していきました。あと、最初にメールのやりとりで、監督から「自分の中で答えを見つけてください」と言われて。「風間塵は他の誰でもなく央士くんなんだから」という言葉をかけていただいた時には自信がつきましたし、そのあとは自分で答えを見つけようと模索しました。

松岡:鈴鹿くんと初めてお芝居したのが、2人で連弾をする月の光のシーンだったのですが、鈴鹿くんの一言目がもうみずみずしくて。お芝居って、色々な要素があって、音感とか感受性とか、そういうのが揃ってないとセリフが出てこないはずなんです。鈴鹿くんはそれを初日からやっていたので、才能というのはあるんだなぁと思いまいした。(鈴鹿を見て)びっくりした顔してるけどこの話するの2回目だよ?

鈴鹿:毎回びっくりします(笑)。

松岡:だって「これ読んでください」って台本を渡されて自分の言葉みたいに喋れるって才能でしょ?

鈴鹿:(にこにこして頷く)

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ーー褒められるの、あまり慣れないですか?

鈴鹿:そうですね。評価される人生じゃなかったので……あ、でも書道で入選とかはありました。

松岡:可愛い(笑)。恩田陸先生が鈴鹿くんのことを、“もう(風間)塵くんだな”って言ってたよ。良かったね。

鈴鹿:嬉しいです。

ーー鈴鹿さんは亜夜と塵の連弾のシーンはどうでしたか?

鈴鹿:僕の1番のお気に入りなシーンです。原作を読んだ時もそのシーンが好きだったのですが、曲もそうだし、月の光とピアノ工房というあの空間全部が好きでした。現場の雰囲気も印象に残っていて、すごく気持ちが入れたというか。監督に「なんでもいいから思ったことをパッと言って」と言われて、初めてアドリブをしたというのも楽しかったです。

映画『蜜蜂と遠雷』亜夜と塵の月夜の連弾【10月4日(金)公開】

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