鈴木拡樹がフランツ・カフカの生き方から学んだこと 「マイナスから考えるのは悪いことではない」

鈴木拡樹が語るフランツ・カフカへの共感

 「変身」「審判」などで知られる小説家フランツ・カフカが、なぜか現代の東京で生活しあらゆる事象に絶望するというコメディドラマ『カフカの東京絶望日記』。今年4月からYouTubeにて無料配信されていたが、9月12日よりMBS「ドラマ特区」枠にて、新エピソードとともに地上波放送される。

 フランツ・カフカ役で主演を務めたのは『刀剣乱舞』シリーズや、アニメ・舞台『どろろ』などで活躍する人気俳優・鈴木拡樹。今年は、『映画刀剣乱舞-継承-』で主演を務め、手塚治虫の同名作品を50年ぶりにアニメ化した『どろろ』(TOKYO MXほか)にも声優として参加するなど、舞台を中心に幅広い活躍を見せている。

 鈴木にとって、本作は地上波ドラマ初主演。撮影エピソードや自身の演技との向き合い方、そして今後に活動についてまで話を聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

「滑稽さを大事にできたら」

ーーYouTube配信から始まった本作ですが、地上波ドラマになると聞いた時はどう感じましたか?

鈴木拡樹(以下、鈴木):1話を撮っている時に地上波ドラマ化したいねという話があったので、ついに現実になったなと。地上波分の全6話も撮り終わりまして、今は「よし、この作品で地上波に挑戦だ!」という気持ちで、あとはどう編集されてどんな反響が生まれるのか楽しみです。

ーー地上波ドラマ初主演となりますが、「主演」に挑む心境は?

鈴木:「地上波初主演」という言葉だけ聞くと、ちょっとだけ不安にはなってくるんですが……。でもすごく楽しく撮影もできましたし、いいものが完成し、多くの方に楽しんでもらえるんじゃないかなと。まずは毎週続けて全話観ていただいて、時間的には短いですし、さらっと観られる作品でもあるので、一挙まとめて観ていただける機会もあったら嬉しいですね。

ーーカフカの絶望スイッチが入ると、鈴木さんの演技も身振り手振りが大きくなったり絶叫したりと、オーバーになりますね。

鈴木:今回、作品を通して挑戦した部分や勉強になった部分がとても多かったんです。その中で一番難しかったのは、今おっしゃっていただいた絶望スイッチの部分でした。目の前が真っ白になるくらいの勢いでやらせてもらいましたけれど、映像作品ですので、1回で終わりではなく、リハも含めて何度も繰り返しそのシーンを撮るので。そういう意味では、大変さはありましたね。後半になってくると、もはや自分が何を言っているのかもよくわからない状況に追い込まれまして……(笑)。

ーーここまで振り切った演技をすることはなかなかないですよね。

鈴木:普段はやらないことですからね。舞台上では絶叫したりはあるんですけど、あそこまで解放的になることもないので。心地よくもあり、こうやって大きな声で発言するのはストレス発散になったり、いい側面もあるかもなとは思いましたね。だからと言って、みなさんにやってくださいというわけでもないんですが(笑)。

ーー場所は選んでいただいたほうが良いかもしれませんね(笑)。

鈴木:でも、自分の意見をはっきりと伝えることはとてもいいことだと思うので、そこはおすすめしたいです。

ーーセリフまわしも独特ではありませんでしたか?

鈴木:カフカさんの考え方、感じ取り方は文学的で、それは言葉にも出ていますよね。キャラクターとしても面白いなと思います。自分が持っていない表現を役を通して獲得することができました。

ーー鈴木さんはこれまでの役のイメージもあってか、ゆったりしていて、どんと構えているような印象がありまして。

鈴木:それは半分正解で、半分違っています(笑)。ゆったりはしていますが、どんとはしていません(笑)。

ーーカフカも絶望スイッチが入っていない時は飄々としていますね。

鈴木:カフカさん、スイッチのオン・オフが激しいですよね。その切り替えは芝居においても意識していたところです。絶望スイッチが入ってわーっと喋って、絶望に絶望を重ねるほど、相手にとっては響くものがあって、その滑稽さを大事にできたらと。そこは作品の大きなテーマでもあり、これを成し遂げなければという目標でもありました。だからこそ日常面はよりコメディっぽく、カフカさんが持つ魅力が出るのかなと。

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