『なつぞら』人々の心に深く刻み込まれた天陽の死 吉沢亮が果たしたキャンバスの約束

人々の心に強く刻み込まれた天陽の死

 そしてなつは絵の中の天陽と対話する。自分の心と再度向き合うように、天陽の言葉に耳を貸すのであった。思えばなつは、絵を仕事にすると決めた時も天陽に背中を押されている。天陽は「なっちゃん、どこにいたって俺となっちゃんは何もない広いキャンバスの中で繋がっていられる、頑張れ」となつと約束したことを伝え、なつは約束を守ってくれていたと話すのであった。そしてなつの抱えるキャリアの悩みについても、答えは出ているだろうと言う。なつはここで天陽と向き合うことで、新たに気持ちの変化があったのではないだろうか。

 天陽の死はこうして多くの人の心に深く刻み込まれた。天陽は身体こそ消えてしまったが、残した絵や畑で、自身の想いを雄弁に語るのであった。そしてそれに救われ、前を向く人々がいる。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人、戸次重幸、吉沢亮、大原櫻子、犬飼貴丈、増田光桜、中川望、古川凛、小林綾子、草刈正雄 ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

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