吉沢亮が口にする優しい「なっちゃん!」をもう一度 『なつぞら』“天陽劇場”を振り返る

『なつぞら』“天陽劇場”を振り返る

 『なつぞら』(NHK総合)で、テレビ漫画制作という新たな一歩を踏み出した奥原なつ(広瀬すず)。一方でカップル誕生には至っていないものの、坂場一久(中川大志)の恋も少しずつ進展している模様。果たしてなつは、“絵でつながっている”天陽くんへの思いを吹っ切ることができたのだろうか。

 なつと天陽の出会いは小学生の頃。北海道・十勝で暮らし始めたなつが、天陽がノートに描く馬の絵に惹かれたことをきっかけに心を通わせるようになり、大好きな“絵”を通して絆を深めていく。

 第12回から、天陽役は荒井雄斗から吉沢亮へとバトンタッチ。2人が向き合いながらスケッチする姿はほほえましく、演劇部のなつを天陽が背景画で支え、牛飼いを始めた天陽をなつがサポートするなど、一層かけがえない存在に。そして、互いに惹かれながらも“幼なじみ”という距離感を保つ初々しさと、吉沢が生み出す朗らかな空気が相まって、ますます天陽くん人気は加速していった。

 第33回では、2人が帯広の映画館に『ファンタジア』を観に行くことになる。なつにとってはアニメーターを目指す大きな転機となるのだが、心躍らせるなつの横で、天陽は「なつと離れたくない」けれども「なつの夢も応援したい」というジレンマを抱えていた。その中で天陽は東京行きを後押しするのだが、なつは「行きたいなんて言ってない」と。そこで飛び出したのが「だったら、行くなよ」という男気溢れるパワーワード。これまで、なつの気持ちを優しく受け入れ続けてきた天陽が、初めて自分の意思を放った瞬間だった。

 両思いであることは明らかなのに、進展することのない2人の関係。その後、照男(清原翔)とのスキー対決を経て、なつへの告白を決意する天陽だったが、なつが東京行きを決めたことで、結局思いを飲み込むことに。ところが天陽は、なつの送別会で「俺はなっちゃんが好きだ。それはこれからも変わらない」と突然の告白。この急展開には驚かされたが、これは天陽からなつへ、“同志”を送り出す最大のエールでもあった。

 なつが上京してもなお、文通をしたり、“なっちゃんの恋人”と称されたりと、2人の思いは変わらずつながっているものと思われた。だが、第78回で状況が一変。天陽の兄・陽平(犬飼貴丈)によって、なつは天陽が結婚すると聞かされたのだ。たしかに天陽は「俺は待たんよ。なっちゃんのこと、ここで帰るのは待たない」と言っていた、言っていたけれど……。

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