【ネタバレあり】『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』論争巻き起こる作品構造を読み解く

『ドラゴンクエスト』賛否生まれる構造を読み解く

 また本作の構造そのものが、CGアニメにて映画化する意義があったとも言える。原作のゲーム、CGアニメという手法、そして作中の舞台となるVRのゲーム空間などはパソコン内で作られた世界によって表現されているものだ。本作を手書きのアニメで表現した場合、受け取り方はまた大きく異なるのではないだろうか。全てをデジタルで構成しているからこその意味が生まれ、手法と表現が一致しており本作がCGアニメ映画で製作された必要性があったと感じられた。

 現実においてもVR技術の進歩と普及によってゲームは大きくその姿を変えようとしている。VRを通してプレイヤー自身がゲームの世界の主人公になり、モンスターを倒して冒険をする姿が一般的になる未来もそう遠くないであろうことを考えると、今作の意図というのは大きく間違っていたとは思えない。ただし、重ねて言うが今作の物語は粗が多いためにそのメッセージを好意的に受け止めきれない方が多いのも致し方ないことなのだろう。

 今作に対するシビアな反応の数々は、ゲーム原作映画の難しさを改めて浮き彫りにした。だが、ゲームの物語をそのまま映像化してダイジェストにし、毒にも薬にもならない作品を作るよりも、劇薬とも取れるような手法を選択して、多くの人の話題にあがる作品になったのは決して間違いではなかったように思う。この映画を見て楽しんだ人も、怒っている人もそれぞれの『ドラクエV』があり、ユア・ストーリーがある。そんな当たり前だけれど普段は忘れてしまっていることを改めて認識させてくれただけでも、本作に意義はあったのではないだろうか。

■井中カエル
ブロガー・ライター。映画・アニメを中心に論じるブログ「物語る亀」を運営中。
@monogatarukame

■公開情報
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』
全国東宝系にて公開中
声の出演:佐藤健、有村架純、波瑠、坂口健太郎、山田孝之、ケンドーコバヤシ、安田顕、古田新太、松尾スズキ、山寺宏一、井浦新、賀来千香子、吉田鋼太郎
原作・監修:堀井雄二
音楽:すぎやまこういち
総監督・脚本:山崎貴
監督:八木竜一、花房真
(c)2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会
(c)1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
公式サイト:https://dq-movie.com/

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