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アリエルの黒人歌手起用から考える、ディズニーの“進歩主義”的姿勢と女性キャラ表象の歴史

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 2019年、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズによる実写版『リトル・マーメイド』アリエル役がハル・ベイリーに決定し、大きな議論を巻き起こした。ベイリーは黒人だが、オリジナルのアリエルは白い肌をしている。このことを受けて、英語圏SNSでは、#NotMyAriel(彼女は私のアリエルじゃない)等の反対運動が勃発する事態に発展。ただし、フェイクやボットも多かったことが検証されている。アメリカの成人を対象としたThe Hollywood Reporter調査において、ベイリー支持派は55%、反対派は16%だった。

「徹底的な調査のもと、ハル・ベイリーが適役であることは明白でした。スピリット、ハート、イノセンス、若さ、加えて輝かしい歌声ーーアイコニックな役に必要とされる本質的な魅力が備わっています」
(ロブ・マーシャル監督のステートメントより)

 ディズニーの選択について、いろいろと推測することはできる。まずは音楽面。オリジナル版で重要とされたのは、ブロードウェイおよびカリビアン風のサウンドである。姉妹デュオChloe x Halleとしてディズニーへの楽曲提供経験も持つベイリーの歌唱スキルは決定打になりえただろう。他キャスト候補にも、オークワフィナにハリー・スタイルズとミュージシャンが並んでいる。また、マーケティング事情も考えられる。近年、ハリウッドにおいて「ディズニーがあまり手をつけないから競合スタジオが稼げるジャンル」とされる3つが「ホラー」「黒人ターゲット」「女性もの」だ(2019年アメリカで『ダンボ』に競り勝った『Us』はこの3要素を兼ね備えている)。黒人スターキャストを多く抱える超実写版『ライオン・キング』はこのうち2つ目、そしてベイリー主演『リトル・マーメイド』は3分の2をカバーするポテンシャルがある。

『美女と野獣』(c)Disney Enterprises, Inc.

 ブランドとしてもそう不自然ではない。近年、ディズニーは『美女と野獣』等のセルフリメイク実写映画によって進歩主義的な再解釈を行ってきたが、こうした賛否を呼ぶ姿勢は今に始まったことではない。1989年版『リトル・マーメイド』自体、主演の白人女優がバッシングに見舞われる騒動を起こしているのだ。少し歴史を振り返ってみよう。

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