『あなたの番です』を深読み考察 真犯人はいったい誰!?  伏線は「反撃編」で回収されるのか?

『あなたの番です』真犯人はいったい誰!?

 次に未解決の謎をピックアップしてみたい。このように張られた伏線は「反撃編」で回収されるのか?

「死体が笑っているのはなぜか」

 死体で発見された赤池夫妻、浮田、そして菜奈は、みな口角が上がって笑っているような顔に見えた。そして、タイトルバックにも犯人らしき人物が手袋の指で女性の口角を上げている映像がある。ここが最も猟奇殺人的なポイントになるが、犯人は菜奈の殺害時の動画でも「最後なんですから、笑ってください」と言っており、強いこだわりがあるようだ。

「菜奈の過去に隠された秘密とは?」

 菜奈が戸籍上の夫である細川と別居した理由を「どうしても許せないことがあったから」と語っていた。細川もそれは納得しているようだった。菜奈が殺された現在、この「許せないこと」とはなんだったのかということがかなり重要になってくる。もしかすると、菜奈と細川の間に子供がいたのかもしれない。

「浮田が死ぬ前に疑っていた相手は誰か?」

 浮田は自分が紙に書いた赤池美里(峯村リエ)が殺されたあと、「あなたの番です」という脅迫状を受け取るが、「俺はやんないぞ」と無視。同時期に脅されていた久住に「(脅迫状を書いた人の)見当はついている。ちょっとカマかけてくるわ」と言ってエレベーターに乗った。その直後に殺されたことから、疑っていた人物に殺された可能性が高い。

「空室の303号室で何が起きているのか?」

 菜奈と翔太の入居した302号室の向かいにある303号室。なぜそこだけ人が住んでいないのかは明らかにされていない。これまで、301号室の尾野が慣れた様子でそこに入って行き、402号室の榎本夫妻が監禁していた黒島と翔太をそこに移そうとした。関連しそうな伏線は菜奈たちが引っ越した日、管理人が302号室に入り込み「天井に気味の悪いシミ2つ」とチェックしていたことと、その日の住民会で「ここ、事故物件だから」という発言が出たこと。現在の303号室というよりは、過去にそこで何かが起こったのかもしれない。

 これらの謎がすべて説明され、さらに真犯人が視聴者の予想を裏切りつつ納得できる人物であれば、『あなたの番です』は傑作になりうる。果たして2クール連続ドラマの成功例になれるかどうかは、謎解き編とも言えるこれからの「反撃編」にかかっている。ぜひ後半もドキドキさせてほしい。

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■放送情報
日曜ドラマ『あなたの番です-反撃編-』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:田中圭、原田知世、西野七瀬、横浜流星、田中哲司、木村多江、生瀬勝久
企画・原案:秋元康
脚本:福原充則
演出:佐久間紀佳ほか
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:鈴間広枝、松山雅則
制作協力 :トータルメディアコミュニケーション
製作著作 :日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/anaban/

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