『さよなら、退屈なレオニー』には社会へのメタファーも? 主演女優カレル・トレンブレイが語る

 6月15日公開の映画『さよなら、退屈なレオニー』で主演を務めたカレル・トレンブレイのオフィシャルインタビューが到着した。

 2018年にカナダでスマッシュヒットを記録した本作は、自分がやりたいことも自分の居場所もみつからない、カナダの小さな街に住む17歳の少女レオニーの姿を描いた青春映画。第31回東京国際映画祭で『蛍はいなくなった』のタイトルで上映され、主人公のレオニーを演じたトレンブレイは、輝きを放つ若手キャストに贈られるジェムストーン賞を受賞した。

 1996年にカナダのケベック州に生まれ、2009年よりTVシリーズ『Le Club des doigts croises(原題)』に出演し、13歳にして女優デビューを果たしたトレンブレイ。続く映画初主演作『Our Loved Ones(原題)』(2016年)で、第4回カナダ・スクリーン・アワード最優秀女優賞にノミネートされるなど注目を集め、現在活躍の場を海外に広げながら数多くの作品に出演している。

 そんなトレンブレイは本作について、「すばらしい俳優たちがいるなかで自分が主演なんて、とても嬉しくてくすぐったいけど、やっぱり不安だったし、重圧もすごくあった。クランクインする前は不安だったけど現場に入ってからは一人で乗り越えるしかなかったの。キャスト、スタッフ、監督との信頼関係が築かれてからはそのプレッシャーを段々感じなくなっていたわ」と心境を吐露。オファーを受けた理由については、、「(セバスチャン・)ピロット監督の脚本がクリアで分かりやすかったし、レオニーのキャラクターも自分とは真逆だからこそ、役を通して感じたことを表現するのは面白そうだと思ったからよ」と明かした。

 自信とレオニーとの共通点、共感する点については、「私自身は都会育ちだったし、家族も何をしてもいいという自由な家だったから制約なく生きていきたけど、レオニーのような環境だったら芸能界は遠いし、女優にはなってなかったかもね。私にはレオニーみたいなシニカルなところはないし、ティーンの反抗期はもうだいぶ前に終わったわ。もちろん、10代は私もシニカルで侮蔑的でエゴイストだったけどね。一度だけ、女優以外に厨房で皿洗いをしてみたけどすぐにやめたわ。レオニーを通してもう一度ティーンエイジャークライシスを追体験できてよかった。車を叩き割るシーンはやりすぎだけどね(笑)」とユーモア交じりに語った。

 劇中でレオニーは年上のミュージシャン、スティーヴと出会うが、トレンブレイは2人の関係について、「レオニーはすごくシニカルで、育った町に退屈しきっていて、身の丈以上の(具体的じゃない)夢を持っている。逆にスティーヴは野心のない性格で、今のままで満足している穏やかな人。それはレオニーからしたら幸せなのか不幸なのかわからないし、二人の性格は真逆。だからこそ彼といて安心するし、関係性はすごくいいけど、恋愛ではないと思っているの。愛情はあるけど、恋愛関係には発展していかないとレオニーは早い段階で彼に知らせるわ。それに両極端な父親の間で疲れているから、スティーヴに安らぎを求めたんだと思うの。2人の関係はあいまいで、これで十分に素晴らしいと思うわ」とコメント。

 また、レオニーには実父と義父、2人の父親がいるが、その2人については、「レオニーにとって実父はヒーローだったの。でもそれが途中で幻影だと知り、彼女の世界が崩れ落ちる瞬間がある。そして彼女は偏見ばかりの義父を憎んでいる。実父と対極にいる彼を憎む理由は明確だけどね。ティーンは時々頭が固くて、大人になってから振り返るとすごく愚か。思い込みが強いのが10代そのものだから、レオニーのああいうリアクションが異常だとは思わないわ。みんな通る道よね」と答えた。

 最後にトレンブレイは、「本作のテーマをどう捉えている?」という質問に対して、「田舎で自分を見失っているティーンの女の子が成長していく青春映画ではあるけれど、それと同時に、原題の『蛍はいなくなった』が表すように、社会へのメタファーでもあると思うの。蛍は明るい場所では見えないし、暗くならないとそのかすかな光は見えてこない。集団の中では光度が高くないと見つけてもらえない人や、レオニーのように不器用でまだ小さな光や、ささやかな出来事は、いなくなってはじめてその光に気付いてもらえるということを言い表している。誰かの生活の脇役にスポットライトを当てるような、豊かさへのメッセージが込められているわ」と力強く語った。

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■公開情報
『さよなら、退屈なレオニー』
6月15日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督:セバスチャン・ピロット
出演:カレル・トレンブレイ、ピエール=リュック・ブリラント
配給:ブロードメディア・スタジオ
2018年/カナダ/96分/ビスタ/英題:The Fireflies Are Gone
(c)CORPORATION ACPAV INC. 2018
公式サイト:http://sayonara-leonie.com

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