岡田准一主演『ザ・ファブル』にも抜擢 江口カンが語る、映画初監督作『ガチ星』を経て感じたこと
「これからもその時々で興味あるものを撮っていきたい」
ーー『ガチ星』を観た人に、「こういう風に感じてほしい」という思いはありましたか?
江口:映画にした時点で、僕はその映画の登場人物の人生を肯定したことになると思っていて。『ガチ星』のテーマには、例えば年をとってからの再挑戦だとか、人生が「終わってる」なんてことはないんだ、ということもあるんですが、頑張ればいいって分かっていても、人間はなかなか頑張れないわけじゃないですか。
ーーまさに主人公・濱島もなかなか頑張れない人間です。
江口:それをあの徹底的な「ダメさ」として表現しているんです。じゃあ「ダメ」な人の人生は「ダメ」かっていうと、必ずしもそうじゃないという気はしています。嬉しいことに、いろんな場所で上映させてもらう中で、本当に自分の人生と重ねてくれるお客さんにすごくたくさん出会えたんです。例えば、ある女性は「自分も競輪学校行ってました」「濱島が説教される監禁部屋みたいな所で自分も説教されたことがあるんですよ」って言いながらボロボロ泣きだして。どうしたのかなと思ったら、「練習中に転んで脳挫傷を起こして、競輪選手になるのを諦めた。そんな自分がこの映画を観て、競輪選手は諦めたけど違うことでもがかなきゃいけないんだって思いました」と言ってくださったんです。
熊本では、4年ほど前にロードバイクで転んで脊椎損傷を起こして以来、車椅子の生活を余儀なくされている方が観てくれて、Facebookで連絡してきてくれたんです。その方も、「今の自分の目標はもう1回歩くことなんだ。そんな自分に、もがけって言ってくれるこの映画は最高だ」って言ってくれて、こっちの方がちょっと感動しちゃいました。
そういう映画にしたかったかどうかは分かりません。もちろんそういうポジティブなものになればいいなとは考えていたと思うんだけど、やっぱり作っている時は言葉にできない感情を表現したくて作っているので。だから、この作品で何を言いたいのかうまく説明できないんだけど、逆にお客さんから言われて初めて「あ、そういう作品になったんだな」とは思いましたね。
ーー江口監督の今後の展望は?
江口:冒頭に言ったみたいに僕自身は作風とかってあまり意識していないんですが、『ガチ星』『めんたいぴりり』『ザ・ファブル』……と改めて振り返ってみると、どれも全然違う作品だなと自分でも思います(笑)。これからもその時々で興味あるものを撮っていきたいというのがまず一つです。あと、今までの3作品って規模もそれぞれ全然違うんですよ。大きい規模の映画にしかできないこともあるけど、有名な人が出ていない『ガチ星』みたいなものは定期的に作っていきたいなと思います。
(取材・文=島田怜於/写真=服部健太郎)
■リリース情報
『ガチ星』
Blu-ray&DVD発売中
【Blu-ray】
価格:4,700円(税別)
仕様:2017年/日本/カラー/本編106分/MPEG-4 AVC/16:9 1080p High Definition/片面2層/ 音声:リニアPCM 2.0chステレオ/字幕:なし/1枚組
※仕様は変更となる場合がございます。
【DVD】
価格:3,800円(税別)
仕様:2017年/日本/カラー/本編106分/MPEG-2/16:9LB/片面2層/音声:【本編】ドルビーデジタル 2.0chステレオ/字幕:なし/1枚組
※仕様は変更となる場合がございます。
<封入特典>
リーフレット(8P)
出演:安部賢一、福山翔大、林田麻里、船崎良、森崎健吾、伊藤公一、吉澤尚吾、西原誠吾、博多華丸、モロ師岡
監督:江口カン
脚本:金沢知樹
発売・販売元:TCエンタテインメント
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