大手シネコンの映画鑑賞料金、相次ぐ値上げ “お財布に優しい”映画鑑賞を伝授
大手のシネコンの一部が6月1日より値上げした。
映画館の一般鑑賞料金は長らく1800円であったが、この値上げは実に26年ぶり。今回、値上げを発表したのは、TOHOシネマズ、109シネマズ、MOVIXなどのSMT系列にティ・ジョイ。東京テアトル系列の映画館も増税前の値上げ実施を検討しているというニュースもあった。大手シネコンではイオンシネマとユナイテッド・シネマ、コロナシネマワールドはまだ値上げの発表はない。増税前に何らかの動きはあるかもしれないが、一時的にでも映画館の料金がバラけることになる。いまだ値上げを発表していない会社はこの間の動員数に変化があるかを注視しているかもしれない。値段で映画館を選ぶ、という贅沢は東京近郊以外では難しいかもしれないが、わずかな期間でも値上げせずにいることも結構な企業努力なのかもしれないと思って、筆者はなるべく努力している映画館にお金を落としたいなと考えている。
無論、値上げを一概に否定するのも間違いで、値段が上がった分環境が良くなり、より良い鑑賞体験が得られるならそれは良いことでもある。とはいえ、ほとんど人にとってお財布事情はシビアなものだと思うので、個人で対策できることを考えてみたい。
割引サービスだらけの日本の映画館
もっともシンプルな対策は割引サービスの活用だ。日本の映画館の一般料金は、1993年から1800円なのだが、年間の鑑賞料金の平均単価は毎年1200~1300円代なのだ。なぜかというと、日本の映画館は割引サービスがたくさんあるからだ。
例えば、今回値上げを発表したTOHOシネマズ一社だけでもこれだけの割引デーがある。
・毎月1日の映画サービスデー
・毎月14日のTOHOシネマズデー
・毎週月曜日のauマンデー
・毎週火曜日のシネマイレージデー
・毎週水曜日のレディースデー
これに加えてシニア割引、障害者割引、夫婦50割引やレイトショー割引などもあり、シネマイレージカード所有者なら6本観ると次の1本は無料になる。月曜日から水曜日は、条件付きだが毎週何らかの割引サービスが受けられる。無条件の割引は毎月1日と14日の2日間だ。
他のシネコンもそれぞれ独自の割引、会員制度を用意しており。全部合わせるとかなりの数の割引サービスが存在するのでないか。
そこで、大手シネコンの割引サービスをカレンダーにしてみたらどうなるか試してみた。もしかして、ほとんどの日でどこかの映画館が割引をしているのではないかという気がしたのだ。
カレンダーには、TOHOシネマズ、イオンシネマ、109シネマズ、ユナイテッド・シネマ、ティ・ジョイ、MOVIXの大手シネコンとすでに値上げを発表している東京テアトルグループの実施している割引施策を反映させてみた。
まず、各映画館が実施している会員制度などの入会を必要としない割引デーをカレンダーに反映してみた。
非会員の映画館割引カレンダー
(iCalリンク)
そして、次に会員やメンバーズカード所有者向けの割引デー。auマンデイやイオンのクレジットカード所有者向けの割引制度も反映させた。
会員/メンバーズカード・特定クレジットカード所有者向けの映画館割引カレンダー
(iCalリンク)
上記の2つを合わせてみた。すると、平日が埋まってしまった。土日を除けば毎日どこかで割引をしているわけだ。
(iCalリンク)
実際には、以上の結果にレイトショー割引や、会員特別割引、レディースデーなどもある。日本の映画館は割引だらけである。
こんなに割引乱発しているなら、もう割引やめて通常料金を1400円くらいにしたほうがわかりやすくていいんじゃないかという気もするが、とにかく、スケジュールを工夫すれば結構安く映画を観られるということだ。みなさんも最寄りの駅や行動圏にある映画館の割引デーをカレンダーで一覧にしてみるといいと思う。
どうして、こんなにも割引サービスが多いのだろうと不思議に思うが、割引が増え始めたのはシネコンが日本に上陸した90年代からだ。シネコン増加によって競争意識が高まった部分もあり、1995年に通産省(現・経産省)が発して映画の入場料金弾力化の要望に応じなければならなかったというのと、主として2つの要因があったと思われるが、そこで基本料金には手を付けずに割引サービスの多様化で競争しようとなるのは、いかにも日本的だなという印象を受ける。例えば日本の携帯電話の料金体系も異様に複雑だが、この割引の多彩さも似たようなものかもしれない。
上記のカレンダーの下部にiCalのリンクも貼っておくので、自分のカレンダーにインポートした方は自由に使っていただきたい。しかし、割引が多すぎて、大事な仕事の予定などが見にくくなるかもしれないが。