新鮮な笑いと優しさをもたらす「古田新太マジック」 『俺スカ』のぶおの原動力は“快・不快”?

新鮮な笑いをもたらす「古田新太マジック」

 古田新太が、私立高校に赴任してくる「超ヤバい」教師役で主演する『俺のスカート、どこ行った?』(土曜22時~/日本テレビ系)。古田新太の役どころは、かつてゲイバーを経営していた、ゲイで女装家の52歳・原田のぶおだ。

 今クールに多いLGBTモノかと思いきや、ドラマが始まってみると、「ゲイで女装家」という設定に必然性が感じられないことや、リアリティのないストーリーなどを疑問視する声が当初は多かった。永野芽郁や川栄李奈、上白石萌歌、富田望生など、演技経験のある若手役者が生徒役として揃った『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)に比べて、同作の生徒役を演じるのはまだ演技素人に近い子ばかりというのも、不安材料ではあった。

 しかも、奇抜なドラマに見えて、展開は案外ベタで、肩透かしを食らった視聴者も多かったろう。しかし、油断して観ていると、思わず噴き出してしまったり、いつの間にか心がポカポカあたたかくなったりする不思議な味わいは、『野ブタ。をプロデュース。』(日本テレビ系)を彷彿とさせる部分もある。

 タイトルや設定などから、大上段に構えて観ていた視聴者たちも、気づくと、のぶおをなんとなく可愛いと感じてしまったり、生徒たちの初々しさに好感を抱き始めていたりする。これは紛れもなく、物語をど真ん中で支えている古田新太が次々にもたらす意外性の賜物だろう。

 毎回、何らかの問題や悩みを抱えた生徒たちが、自分の殻を破り、天岩戸から出てくるように心を開いた瞬間に、のぶおのカツラが外れる。ともすれば寒くなりかねない、こうした「お約束」が、毎回新鮮な笑いと優しさをもたらすのは、古田新太マジックと言って良いだろう。

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