『キングダム』には日本映画界の夢が託された? 「再現不可能」の声を跳ね返した佐藤信介らの手腕
とにもかくにも原作ファンも初見の人も『キングダム』の世界がそこにある! と信じるに足る説得力を持っていた本作。少年漫画の実写化としては過去最高レベルかもしれない。
とはいえ今回映画化されたのは壮大なスケールを誇る原作のほんの序章である1~5巻の王宮奪還編までに過ぎない。今実写化できるレベルを見極めてストーリーを絞った作り手たちの目は確かだが、早くこの先が見たいとヤキモキしてしまうのも事実。
本作は公開3日間で50万人を動員し、7億円弱を稼ぐ大ヒットを飛ばしており、しかも北米での公開まで決定している。ここまで成功すればおそらく続編は作られるだろうが、この先の『キングダム』はさらにスケールアップした国家間の戦争や宮廷内での陰謀渦巻く権力闘争など様々な要素も増えるうえに、数々の人気キャラクターもどんどん出さなければならない。並大抵のヒットでは正直今後の『キングダム』を作る予算が用意できないのではという危惧もある。
佐藤監督や原泰久先生ら作り手たちがここまで夢を見せてくれたのだから、今度は原作ファンや、もっと国産のアクションやスペクタクル劇が見たいという映画ファンもその夢に乗っかっていくしかないだろう。
要するに今後の『キングダム』のため、いや、今後の日本映画界の可能性のため、もっと劇場に足を運ばなければならないということだ。筆者も後2回は映画館で鑑賞する予定です。
※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記。
■シライシ
会社員との兼業ライター。1991年生まれ。CinemarcheやシネマズPLUSで執筆中。評判良ければ何でも見る派です。
■公開情報
『キングダム』
全国東宝系にて公開中
監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉、佐藤信介、原泰久
出演:山崎賢人、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、満島真之介、阿部進之介、深水元基、六平直政、高嶋政宏、要潤、橋本じゅん、坂口拓、宇梶剛士、加藤雅也、石橋蓮司、大沢たかお
配給:東宝
製作:映画「キングダム」製作委員会
(c)原泰久/集英社 (c)2019映画「キングダム」製作委員会
公式サイト:kingdom-the-movie.jp