『なつぞら』藤木直人の好演が冴える 広瀬すずの“味方”となる穏やかな父親像

『なつぞら』藤木直人の好演が冴える

 ところで、藤木は俳優としての20年以上のキャリアの中で、膨大な数の作品に出演を重ねてきた。1995年、映画『花より男子』の花沢類役で華々しくデビューを飾ると、その後も絶え間なく映画・ドラマに起用。『喪服のランデヴー』(2000/NHK)で連ドラ初主演を果たし、菅野美穂とダブル主演を務めた月9ドラマ『愛し君へ』(2004/フジテレビ系)、 ドラマ放送ののち映画化もされた『ナースのお仕事』(フジテレビ系)や『ホタルノヒカリ』(日本テレビ系)シリーズなどの代表作も得ている。

 大河ドラマでは、デビューから間もない頃ながら大役に抜擢された『徳川慶喜』(1998)や『平清盛』(2012)、昨年放送された『西郷どん』(2018年)での気品あふれる好演も記憶に新しい。また最近は、『FINAL CUT』(2018/カンテレ・フジテレビ系)や、続く『グッド・ドクター』 (2018/フジテレビ系)、今年の前クールに放送された『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系)で、『なつぞら』の剛男役とは打って変わって、いかめしい人物を演じ上げていた。いずれも脇に回る役どころではあるものの、主要なポジションで作品や周囲のキャスト(とくに主役を演じる若手)を支えている姿が印象深い。

 さらに、藤木がバラエティ番組のパーソナリティーや、ミュージシャンとしても活躍する存在であることは広く知られているだろう。つねにマルチな才能を発揮し続ける、エンタメ界にとって得難い存在なのである。

 戦争経験者であること、婿養子であること、なつの育ての親であること……複雑な要素を抱える剛男という人物を、藤木はどのように演じていくのか。そしてそれが物語にどのように反映されるのか、剛男の変化にも注目だ。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人/岡田将生、吉沢亮/安田顕、音尾琢真/小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

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