『グッドワイフ』常盤貴子、“普通の女性”を演じる強み 木村佳乃、米倉涼子ら同世代女優との違い

常盤貴子の“色”が生かされた『グッド・ワイフ』

 そんな中で、女優たちは、それぞれに独自の色を出さなければならない。昨今で言えば、『後妻業』の木村佳乃と木村多江などは、その色が確立した上でそこからまた新たな色を模索しているところではないだろうか。例えば、木村佳乃はバラエティでも活躍していて、そのからっとした明るさで、悪役なのに憎めないというところを『後妻業』でも発揮している。木村多江は、『あなたには帰る家がある』(TBS系)に代表されるような幸の薄そうな奪う側の女の役が多かったが、『後妻業』では、そのイメージを逆手にとり、今までにはない共感性の高いインテリ女性を演じている。そして、この2人がときに漫才のようにかけあう姿も楽しい。

『後妻業』(c)関西テレビ

 米倉涼子は、強い女という記号をためらわずに背負っているし、中谷美紀もコメディエンヌとしての躍進が目覚ましい。

 さて、そんな個性豊かなこの世代の女優たちの中にあって、連ドラへの出演が少なかっただけに、色がなかなか見えづらかったのが常盤貴子だと言ってもいいのかもしれない。

 しかし昨今は、『アンナチュラル』(TBS系)でも言われていたように、「ドジをしてもとにかく頑張る!」という際立ったキャラクター性で目立つヒロインではなく、ごく普通のテンションで、普通に生きている女性像というものが求められるようになっている。

 『グッドワイフ』で常盤が演じる蓮見杏子は、役を説明するときに、キャッチーな言葉で箇条書きができるようなキャラクターではない。だが、全話を通してみると、その性質や輪郭が、見ているものの中でしっかりと残る、そんな人物となっている。

 蓮見杏子はどの方向にもデフォルメされていない。強烈に強い女性でもなく、仕事の上で強引な手をつかってでも勝つ人でもなく、さまざまな出来事にちゃんと感情が揺れ、でも自分自身の倫理的な軸はしっかり持っている。キャラクターが独り歩きしがちな今だけに、そんな地に足の着いた姿を演じられる人は貴重なのではないだろうか。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■放送情報
日曜劇場『グッドワイフ』
TBS系にて毎週日曜日21:00~21:54
出演:常盤貴子、小泉孝太郎、水原希子、北村匠海、滝藤賢一、賀来千香子、吉田鋼太郎、唐沢寿明
脚本:篠崎絵里子
チーフプロデュース:瀬戸口克陽
プロデュース:東仲恵吾
演出:塚原あゆ子ほか
原作:based on “The Good Wife” produced in the United States by CBS Television Studios in association with Scott Free Productions and King Size Productions, and distributed by CBS Television Distribution” 
制作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/the_good_wife2019/

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