YouTuberがドラマ界を占領!? TVドラマから感じる、SNSに対する世間の関心の肥大化

 先日、バイト先で悪ふざけをしている姿をスマホで撮影してInstagram等にアップするというバイトテロがSNSで話題となった。バイトテロも、最初に話題となった2013年頃と比べると、世間の反応も報道のされ方も含めて、ある種の共通理解が成立しているように感じたが、そんなふうに誰もが動画の送り手になることが可能となった現代の風景を、真逆のアプローチで描いていたのが『JOKER×FACE』(フジテレビ系)と『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(以下『3年A組』、日本テレビ系)だ。

 『JOKER×FACE』はYouTuberの流川(松本穂香)が、うだつのあがらない中年男性・柳(松尾諭)を使って、危険な番組をリアルタイム配信するというドラマだ。「オレオレ詐欺をやってみよう」「出会い系サクラ業者に潜入!」といった各話のタイトルからもわかるとおり、YouTuberたちの潜入取材を実況するドラマとなっている。取材対象に接触する柳に対して、ダメ出しする流川の姿は悪魔のようで、松本の中にある暗い魅力を引き出していた。カメラを武器に軽薄な口調でえげつない言葉を浴びせることで真実を露わにする流川の姿は、クリストファー・ノーランの映画『ダークナイト』に登場するヴィラン(悪役)・ジョーカーのようだ。

 昨年放送された『炎上弁護人』(NHK)に登場した岩田剛典が演じるネット中継を得意とするWEBニュース記者も同じような軽薄な不気味さを醸し出していたが、おそらく世間の考えるYouTuberとはこういうものなのだろう。

 冬クールのドラマに登場したYouTuber(あるいは動画配信系ジャーナリスト)の姿をみていると、YouTuberやSNSに対する世間の関心がいかに肥大化しているのかがよくわかる。

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