The Wisely Brothers 真舘晴子が語る『私は、マリア・カラス』 「年代も超えるほど人に伝わる」

真舘晴子が語る『私は、マリア・カラス』

 そんなマリア・カラスは、結婚や恋愛、体調不良による公演の中止、契約解除など、様々な出来事に対して、厳しい意見や、理不尽な批判を強く受けます。それでも、友人との手紙のやり取りでは、たとえ自身の体調が良くないときだとしても、「心配しないで、手紙を書いて」と最後に記していたところに、前を見る強い気持ちを感じました。批判がいくらあったとしても、友人の言葉や応援してくれる人の拍手ひとつから、彼女は愛を受け取る。ひとりで願うことはいつも、打ち勝つ力をくださいというものでした。常に、いいことも悪いことも乗り越える自分を望むマリア・カラスが本当にカッコいい。そんなことって、当たり前にできることではないのです。久しぶりのNY公演に並ぶファンの列には、今の自分と同い年くらいの男の子がいたりして、マリア・カラスのオペラは、年代も超えるほど人に伝わるものであったことに頷きました。

 自分の生み出した言葉でなくても、自分自身でなくても、そこに自分を表現できること。もしくは、自分でないからこそ、より自分になれること。そのことから生まれる美しさ、というのは、まだまだ私の知らない要素だと素直に思いました。そしてそれをもっと今に見るべきだと。この映画を観ながら、自分の歌への思いとは、どんなものだろうと考えました。

 「歌は私の唯一の言語だから」とマリアは言います。この言葉が彼女の歌とつながって、私たちは何も言えなくなってしまうのでしょう。

 マリア・カラスがこんなにも心をそそいだ、オペラというものを早く実際にこの目で観てみたい!

■真舘晴子
The Wisely BrothersのGt/Voを担当。
都内高校の軽音楽部にて結成。オルタナティブかつナチュラルなサウンドを基調とし会話をするようにライブをするスリーピースバンド。
2014年下北沢を中心に活動開始。
2018年2月キャリア初となる1st full album『YAK』発売。
公式サイト:http://wiselybrothers.com/
公式Instagram:https://www.instagram.com/wiselybrothers/

■公開情報
『私は、マリア・カラス』
TOHOシネマズ シャンテほかにて公開中
監督:トム・ヴォルフ
朗読:ファニー・アルダン
配給:ギャガ
(c)2017 - Elephant Doc - Petit Dragon - Unbeldi Productions - France 3 Cinema
公式サイト:gaga.ne.jp/maria-callas

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