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The Wisely Brothers 真舘晴子の「映画のカーテン」第6回

The Wisely Brothers 真舘晴子が語る『私は、マリア・カラス』 「年代も超えるほど人に伝わる」

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 オペラと聴くと、あまりなじみがないなぁと思ってしまいました。思い浮かぶのは、ある日届いた友達からの手紙の最後のほう、パリのオペラ座で見た有名な天井の画の感想が綴られたこと。そのとき、実際にその画をすごく見てみたくなったこと。あとは好きな映画の一つであるジャン=ジャック・ベネックス監督の『ディーバ』。冒頭、青い光の当たる舞台で、歌姫Divaが歌うアリアの歌唱。そのようなひどく少ない知識でした。現代ではどのくらいの人が実際にオペラを観たことがあるのでしょう。マリア・カラスのドキュメンタリー映画『私は、マリア・カラス』を観終えたあとに私は、マリア・カラスにもっと早く出会いたかった、実際に観たことのないオペラというものを今からでも知りたいと思い、なんだか悔しくなりました。

 マリア・カラスは、なぜこんなにも歌に気持ちがあるのだろう。彼女の唄う歌は、おそらくほとんどがこれまで誰かに何度も演じられてきたオペラ。その詩や曲を自分が作っているわけでなくとも、彼女の歌には、ものすごい力が込められている。

 これまで、オペラとは歌の種類の一つのことだとすこし勘違いしていたので、映画のなかのオペラ映像の断片から、曲の歌詞と作曲者に疑問を持ちました。歌われている曲の情報として何度か表示された作曲者たちの名前からイメージしたのは、イタリアの有名な男性作曲家でした。それに対して、歌詞の内容は、とても乙女チックだったり、情熱的だったり、悲壮的だったり、とても物語的。この歌詞は、作曲家のプッチーニが書いているのか、それとも違う作詞家がいるのか、そうだとしたら誰が書いているのだろう……と思ってあとで調べてみて、オペラというのは演劇と音楽の舞台芸術であることをやっと理解しました。なので、その中の詩というものは、台本作家がつくるケースが多く、詩人としても有名な作家が選ばれるということでした。

 そんな物語の歌詞に、なぜここまで心を注ぎ込めるのか。「大勢の人にうたごころを感じてほしい」というマリアが印象的でした。彼女は13歳からオペラの道を歩んでいますが、自分はごく普通の女性であると主張していて、美しい曲を聴くのも見るのもすき。自分自身が本当に感動できるから、退屈だと思われがちなオペラを観客の心に届けたいと言うんです。セリフを歌うオペラ歌手は、歌手であり女優でもあります。オペラのシーンを観ていると、普段私たちが話している言葉は、歌でもあるんだと改めて思いました。物語の中で、そのときの気持ちや風景を、自分の歌の音色や声の強弱で表現する。そんな姿から、「ではあなたにとっての、うたごころとは?」と聞かれているような気持ちにもなりました。自分の内から湧き出た歌を聴いてほしい。そう自然に思う気持ちが、彼女の声の努力と才能に加わった大きな力なのだと思います。私も、もっと歌で自分のこころを表現できたら、その時どんな気持ちになるだろう。

      

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