『はじこい』吉川愛演じるエトミカの成長 いつの時代もラブストーリーが求められる理由とは?

『はじこい』吉川愛演じるエトミカの成長

 だが、求めれば求めるほど手に入らない虚しさが大きくなっていくもの。そんな寂しい気持ちを埋めてくれるなら……と、エトミカは『伊勢物語』の女のように、心から愛しているとは言えないけれど、言い寄ってくれる相手と枕を共にしようとする。心では、これが恋愛ではないことは気づいているのだが、その寂しさを埋めるすべを見いだせない。その感情のコントロールができるかどうかが、大人への一歩。自分で自分の機嫌を取れること。しかし、まだエトミカは、誰かに「間違ってる」と言って止めてほしい、と願う“子ども”だった。そこに、颯爽と現れた順子。毅然と男に立ち向かい、エトミカに好きになってよかったと思える“いい恋“をするように諭す。

 もちろん、順子にそんな恋愛経験はない。しかし、情報と想像で、自らの経験を超える話ができるのが、“大人”の持つひとつの力=応用力だ。恋の苦しみはまだ知らないけれど、愛してほしい相手に望む形で愛されない悲しみを、母親との関係性で知っている。匡平との受験勉強を通じて、夢中になるときめきも知ったばかり。恋愛というものがよくわかっていない順子も、誰かに認められ、誰かのために尽くせた日々そのものが、どんな結果になろうとも、自分を成長させてくれるかけがえのないものである、という解を導き出せたのだろう。

 とはいえ、やはり恋愛偏差値は、まだまだ低い順子。長年、順子に想いを寄せてきた、いとこの雅志(永山絢斗)が「梓弓」に感化され、勇気を振り絞って順子をバックハグするも、頭の上に大きなはてなマークが出ているような表情に。そんなふたりを目撃した匡平のほうが、雅志の想いに気づいたはずだ。子ども扱いするにはしっかりしているものの、“大人”と呼ぶには幼い匡平。学力とビジネスセンスは抜群なのに恋愛に不器用な雅志。そして、結婚歴が明かされるなどまだまだ謎が多いが、さらりと距離を縮めてくる一真。彼らの想いはライバルたちの想いを知ることで、今後さらに加熱していく予感がする。果たして匡平の学力アップに全力投球な順子は、自分自身の恋愛力を上げることはできるのか。

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(文=佐藤結衣)

■放送情報
火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』
TBS系にて、毎週火曜22:00~
出演:深田恭子、永山絢斗、横浜流星、中村倫也、安達祐実、石丸謙二郎、鶴見辰吾、生瀬勝久、檀ふみ、高橋洋、皆川猿時
原作:『初めて恋をした日に読む話』持田あき(集英社『クッキー』連載)
脚本:吉澤智子
プロデューサー:有賀聡(ケイファクトリー)
演出:福田亮介ほか
製作:ケイファクトリー、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/hajikoi_tbs/

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