『メゾン・ド・ポリス』『わたおじ』『渋井直人の休日』……おっさん・おじさんドラマ、なぜ増加?

“おじさん”ドラマはなぜ増加?

 まず、あげられるのは“かわいい”というキーワード。これまで描かれてきたおじさまたちは、昔気質の頑固親父や、威厳のある上司といった印象が強かった。しかし最近は“かわいい”という点にスポットを当てて描くことで、おじさま達の新たな魅力を引き出す作品が増えているようだ。またそれは、『おっさんずラブ』に登場した乙女部長のような“かわいさ”だけではない。おじさまが一生懸命に慣れないスマホを扱っていたり、腰の痛みを抱えて戦ったりする姿が、自然と“憎めない愛しい存在”として映るのである。

 そして、おじさま作品の王道としてあげられるのは、ふだんは抜けたところのあるおじさまが、仕事となると本領発揮で頼りになるというストーリー。今期でいう『メゾン・ド・ポリス』のパターンだ。この安定感のある展開は、ドラマ視聴者が高齢化している中でも、受け入れられやすい物語といえるはず。さらに、おじさまを演じるのは、キャリアも申し分ない表現力豊かなアラ還俳優陣。安心して身を任せながら、笑いあり、涙ありのドラマをのんびりと鑑賞するのは、とても心地良いものである。

 “かわいい”という側面を武器にしたことで、一気にドラマ界の中心へと躍り出たおじさま達。今夏には『おっさんずラブ』の映画も公開も控えているだけに、おじさま方の活躍にますます注目する日々が続きそうだ。

■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。5歳・7歳の息子を持つ2児の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter

■放送情報
金曜ドラマ『メゾン・ド・ポリス』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜放送
出演:高畑充希、西島秀俊、西田尚美、竜星涼、木村了、戸田昌宏、小日向文世、野口五郎、角野卓造、近藤正臣
原作:加藤実秋『メゾン・ド・ポリス』シリーズ(角川文庫刊)
脚本:黒岩勉
演出:佐藤祐市、城宝秀則
プロデューサー:橋本芙美、芳川茜
製作:共同テレビ、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/maison_de_police/

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